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陰のMVP加藤! 鉄のメンタルで決勝5種目ノーミス

[ 2016年8月10日 05:30 ]

<体操・男子団体決勝>表彰台でスタンドの声援にこたえる(左から)山室、内村、田中、白井、加藤

リオデジャネイロ五輪体操・男子団体総合決勝

(8月8日 リオ五輪アリーナ)
 クールな22歳は、夢舞台にも動じない。昨年の世界選手権、出発時の成田空港に、パスポートを忘れた加藤がいた。だが、これは人生で一番焦った瞬間ではない。「パスポートより、寝坊して練習に間に合わなかった時の方が…」。

 涼しいマスクとは容易に結びつかない鉄のメンタル。「まだ正直、実感が湧かない。スクリーンを見て、決まった瞬間、いろいろこみ上げてくるものがあって、幸せだなあと」。内村に次ぐ5種目に出場。陰のMVPともいえる絶対的な安定感で、ノーミスの演技をそろえた。

 仲間にミスが相次いだ予選は、6種目中5種目で重圧がかかるトップバッターに起用された。内村、白井でも五輪という特別な舞台に体の自由を奪われる中、加藤だけは違った。淡々と演技をこなし、冷静にチーム状況を分析していた。「練習でミスは出ていない。予選が少しおかしかっただけ」。決勝のあん馬は山室の落下の後に演技し、嫌な流れを断ち切った。3種目目の跳馬は1番手で登場。昨夏に左足首を負傷した「ロペス」の着地を、その左足で踏ん張った。

 かつてはマイペースで勝利への執着心に欠ける部分もあったが、12年ロンドン五輪の銀メダルが加藤を変えた。内村らが悔しがる姿を見て、「こんなに(勝ちに)こだわらないといけないんだ」と痛感した。あれから4年、アテネ以来のV奪回にも「アテネを超えたというより、自分たちが気持ち良ければいいのかな」とクールに笑う。10日の個人総合には内村とともに出場。世界のトップに君臨するキングの背中を追って、加藤も表彰台へ駆け上がる。

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