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【馬術】桝井俊樹、最年長で初の夢舞台 “ビビビ”愛馬と心通わせ…

[ 2016年7月31日 10:00 ]

リオデジャネイロ五輪に初出場する馬術・桝井の試技

 障害馬術のリオデジャネイロ五輪日本代表に選出された桝井俊樹(46=乗馬クラブクレイン)は、選手団最年長でありながら今回が自身初の五輪舞台。これまでの道のりは決して順風満帆ではなかったが、愛馬と共に苦労を乗り越えて歩んできた。五輪にかける思いや、愛馬との信頼関係を明かした。

 2カ月半に4~5回の選考を義務付けられるという過酷な日程を経て、五輪初出場を果たした桝井。決定の瞬間は「“やった!!”とかいう感情でなく、“あ~よかった~”みたいな感じでした」。歓喜より安どの方が大きかったという。

 過去2度代表に選ばれなかった経験から一時は五輪を諦めたことも。辛さを知っているからこそ、選考には全力で挑むことができた。「 “失敗してしまうのが当たり前”みたいな所まで追いつめられていたので逆に怖いものはなかった」。これまでなかった平常心。五輪切符を手にした時もあくまでも冷静でいられた。

 障害馬術は、騎乗して競技場に設置された様々な障害物を決められた順番通りに飛越、走行する競技。正確に早くゴールすることが求められ、選手の技術だけでなく馬の能力や相性にも大きく結果が左右される。そのため桝井本人だけでなく愛馬のコンディションも好成績を残すための必須の条件となる。

 桝井が自信を持って紹介するパートナーは11歳の牝馬「タルーベダルコKZ」。神経質で臆病だが「障害物に対しては決してギブアップしない」と大きな信頼を寄せる。出会いは2年半前。「一回試乗するチャンスがあり、その時に“この馬はもしかして…”という感覚的なところを感じました」とビビビときた。経験不足なところもあったというが「この馬に賭けてみよう」との直感を信じ、今ではかけがえのない“相棒”となった。

 「乗っては走られ、ひきずられ…。なかなか心を開いてくれませんでした」と当初はコミュニケーションをとるのに苦労したという。それでも1年が経過すると「リラックスしたトレーニングができるようになり、成績も安定してきて、厩舎でも“ここが自分の家”という感じの振る舞いになってきました。大きな壁を越えた瞬間だったと思います」と手応えを感じた。

 日本では十分に定着しているとは言えない馬術競技。それでも桝井は「物言わない馬の気持ちをどれだけ分かってやれるか。またどれだけ馬に伝える事ができるか」と馬術の魅力を語る。

 選手団の中では最年長だが「海外では50歳を過ぎても一流の選手はゴロゴロいます。今回最年長と言われてもピンと来ない」とあっさり。「普段通りクリアーアラウンド(減点0)を目指すだけです。それさえ継続してできれば上位にいけるはずなので。積極的な騎乗をしたい」と人馬一体となって選手団最年長が初の五輪に挑戦する。

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