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沙羅のお願い!18年平昌で女子もラージヒル&団体戦を

[ 2014年2月28日 05:30 ]

空港に居合わせた女の子との記念撮影に笑顔で応じる高梨

 ノルディックスキー・ジャンプ女子の高梨沙羅(17=クラレ)ら日本女子代表チームが27日、成田空港発の航空機でソチ五輪後初めて開催されるW杯第14戦(3月1日、ルーマニア・ラスノフ)に向けて出発した。五輪で金メダル筆頭候補ながら4位に終わった高梨はW杯2連覇を誓うとともに、18年平昌(ピョンチャン)五輪での女子個人ラージヒル(LH)と団体戦の新種目採用を希望した。

 14日の帰国から約2週間。後ろで小さくまとめていた髪を、肩の上までのミディアムにチェンジした高梨が再び成田空港に姿を現した。五輪はメダルを逃したが、今季W杯は残り6戦で独走。「たくさんの方から言葉をいただいて私が頑張る理由がここにあるんだなと思ったので、次は総合(優勝)を獲るしかないと思います」と連覇を誓った。

 帰国後は山形・蔵王で練習を積む日々。そんな中でも気になったのはやはり五輪で、深夜までテレビにかじり付いていたという。日本が98年長野大会以来のメダルを獲得したジャンプ男子団体では「チームの力で勝ち取ったメダルだと思うと、見ているところ(途中)で号泣してしまうほど感動した」と個人戦にはない魅力に刺激を受けた。

 仲間と喜びを分かち合えるチームの戦い。高梨は「女子団体とかLHの種目ができたら盛り上がると思いますし、楽しいと思います」とLHと合わせた新種目採用を希望した。ソチ五輪で個人ノーマルヒル(NH)のみが新種目として採用されたジャンプ女子だが、国際スキー連盟関係者も将来的なLHや団体戦採用を予測。高梨はソチでNHのみの“一発勝負”に泣いたが、男子では葛西がNHで8位に沈みながら、その後のLHで銀メダルを獲得した。世界ジュニア選手権では女子団体も行われ、高梨とともに1月に優勝を支えた伊藤(土屋ホーム)も「団体戦ができることを希望しています」と訴えた。

 課題もある。ジャンプは着地時に大きな負担がかかるため、男子よりも筋力で劣る女子がLHを飛ぶことは危険性が高い。昨季のW杯では最終戦のみLHで行われたが、技術的に飛べる選手が少なく、競技者数はNHの50人前後よりも少ない31人だった。まずは競技人口が増えなければ、新種目採用は望めない。

 ソチ五輪で女子の採用が決定したのは11年4月。18年平昌での新採用に向けては待ったなしの状況でもある。4年後、メダルの可能性を広げるためにも、女子ジャンプ界を引っ張る高梨の活躍に期待がかかる。

 ≪W杯でLH昨季1戦≫今季が開始3季目の女子W杯では、まだLHで争われること自体が少ない。これまでにLHで行われたのは、昨季の13年3月17日に行われた最終戦(ノルウェー・オスロ)の1戦のみ。この時はヘンドリクソン(米国)に敗れて2位だった高梨だが、1本目は女子バッケンレコードとなる134メートルを飛び、2本目も133・5メートルと大ジャンプを2本そろえた。飛型点の差で敗れたものの、高梨自身はLHでも好感触を得ているようだ。

 ▼高梨の団体戦 13年2月の世界選手権(イタリア)では初採用となった男子2人、女子2人の混合団体に出場し、日本の優勝に貢献。助走路が男子よりも6メートル長いために一概には比較できないが、2回目には男子を上回って最長不倒となる106・5メートルの大ジャンプを見せた。13年12月のW杯(ノルウェー)でも混合団体で優勝。今年1月30日の世界ジュニア選手権(イタリア)でも女子団体で最長不倒を飛んで優勝するなど、団体戦でも強さを発揮している。

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