×

沙羅 五輪仕様ジャンプ台でソチ予行だ W杯蔵王大会

[ 2014年1月18日 05:30 ]

助走路が緩やかな曲線が続く形状に改修された“五輪仕様”蔵王のジャンプ台でジャンプする高梨

 クロソイド曲線を制してソチでも勝つ!ノルディックスキー・ジャンプの女子W杯が18、19日と山形・蔵王ジャンプ台で行われる。蔵王のジャンプ台は国際スキー連盟(FIS)の新ルールに基づいて改修が行われ、五輪本番のソチと同じ新しい形状の助走路に生まれ変わった。金メダルを狙う高梨沙羅(17=クラレ)にとっては絶好の予行演習の舞台。先週の札幌など従来型との違いを克服できるかが、3週間後に迫ったソチ五輪への試金石となる。

 公式練習では他の選手よりも低いゲートから、悠々とK点越えを連発した。2回目には最長不倒97・5メートルをマークし、その飛びっぷりだけ見れば2連勝を飾った先週の札幌と変わらなかった。しかし、飛んでいる本人、高梨の感覚はまるで違っていた。

 「札幌に比べれば、アプローチでG(加速時にかかる力)の感じ方は明らかに軽い。かなり集中していないとタイミングが遅れてしまう」。W杯女子最多15勝の女王が新しいジャンプ台の特徴を指摘した。FISルールが改正された08年以降、新設および形状の変更を伴う改修では助走路を「クロソイド曲線」とすることが義務化。これが選手の感覚を大きく狂わせる。

 従来型は急斜面→カーブ→テークオフの流れで飛んでいた。斜面を滑り降りてきた選手はカーブに差し掛かると一気に強いGを感じ、それを一つの目安として踏み切っていた。しかし、新型はスタート直後からカーブが始まり、徐々に斜度変化がきつくなる。最初から最後までGはゆったり変化。緩い斜面を滑り降りるようで「全くGを感じないぐらい」という選手もいる。それだけ踏み切りのタイミングも取りづらく、高梨は「集中するだけ。体で感じるしかない」と対策を語った。

 クロソイド曲線を用いたジャンプ台はソチなど、世界で10カ所足らずで日本は蔵王だけ。“慣れ”も重要な要素だけに、高梨は五輪を見据えて昨年末に蔵王で短期合宿も行った。「山形市さんの莫大(ばくだい)な資金でジャンプ台が新しくなって幸せです。重要な機会なので集中して飛びたい」。総工費6億6000万円。本来は来月の国体のために改修され、3億5000万円は国体開催地向けのtoto助成金で賄われたという。五輪を目前に控えた高梨らには願ってもない話。改修後では初の公式戦となる今大会のジャンプが、ソチでの成績に直結するといっても過言ではない。

 ▽クロソイド曲線 カーブの半径が徐々に変わっていく曲線のこと。高速道路のランプなどで用いられ、運転者は変化する曲率に合わせて一定の速度でハンドルを切ったり戻すことになるため急激なハンドル操作を避けられる。ジェットコースターの縦回転も同じで乗客に急激な遠心力がかかるのを防いでいる。

続きを表示

この記事のフォト

2014年1月18日のニュース