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高橋が“第3の男”!滑り込み五輪切符 悔し涙からうれし涙に

[ 2013年12月24日 05:30 ]

五輪への意気込みを語るクリス・リード(左)の横で涙を流す高橋(右)

フィギュアスケート全日本選手権最終日

(12月23日 さいたまスーパーアリーナ)
 「第3の男」は高橋だった。ソチ五輪のフィギュア男子代表に23日、10年バンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔(27=関大大学院)が滑り込みで選ばれた。22日のソチ五輪代表選考会は5位に終わったものの、大舞台の経験、精神的支柱としての役割などが評価された。3大会連続の五輪で悲願の金メダルに挑む。競技終了後の日本スケート連盟フィギュア委員会、理事会を経て羽生結弦(19=ANA)、町田樹(たつき、23=関大)も五輪代表に決まった。
【ソチ五輪日程 フィギュアスケート日程】

 静寂の後に待っていたのは驚きと歓喜だった。全競技終了後にリンクで発表された五輪代表。羽生、町田の名前が読み上げられた後、1万8000人の超満員スタンドが固唾(かたず)をのむ。そして読み上げられた名前は「高橋大輔」だった。湧き上がる大歓声に迎えられ、高橋は笑顔で両手を振った。すぐに両目が潤んできた。

 「いろんな言葉を考えていたんですけど…、言葉が見つからない…。五輪は正直、自分の中で絶望していた。発表の場にいられてうれしく思います」。地獄から天国へ。あまりにドラマチックな3大会連続の五輪切符だ。22日にフリーの演技を終えた時点で、本人は絶望感にうちひしがれていた。SP4位から巻き返すどころか、総合5位。目を真っ赤に腫らし「五輪はもうないんだろうなと終わった瞬間に思った」と現役を退く可能性まで示した。

 22日夜は眠れずに悶々(もんもん)と過ごしたが、一夜明けて前向きに考え直した。「ショックで選考基準のことがすっかり頭から抜け落ちていたけど、まだチャンスはある」と運命の瞬間を待った。本人が驚く展開が待っていたのは競技終了後に開かれたフィギュア委員会、理事会。これまでは国内大会の最高峰、全日本選手権の結果を重視する傾向にあったが、今回は極めて異例。全日本3位の小塚より高橋を推す声が強かった。ソチでのメダル獲得の可能性をはかりに掛けた結果だった。

 前回10年バンクーバー五輪銅メダリストで、10年世界選手権と12年GPファイナルの優勝者。今季GPシリーズでは羽生に次ぐ268・31点(11月NHK杯優勝時)をマークし、世界ランクでも3位につけている。過去の実績、今季の成績は申し分ない。11月下旬に右すねを負傷した影響で不振も2月の本番までには復調を見込めると判断された。羽生、町田の若手への精神的な支えとしても期待される。

 代表決定後、小塚に「頑張ってね」と声を掛けられた。五輪が選手にとってどれだけ憧れの舞台かは痛いほど分かっている。「頑張ってくるから」。傷心のライバルの胸中を思い決意を新たにした。今回の選考に異論の声が出るかもしれない。だからこそ言い切った。「五輪では今までの生ぬるい自分を捨てて追い込んで日本代表として恥ずかしくない演技ができるように頑張ります」。一度諦めた夢舞台。高橋は不死鳥になってソチのリンクに舞い降りる。

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