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デサントと伊藤忠が対立 創業家社長の就任時 五輪商機に影響も

[ 2013年12月7日 15:55 ]

 スポーツ用品大手のデサントでことし6月、創業家出身の石本雅敏氏(51)が社長に就いたのは、筆頭株主の伊藤忠商事との対立が深まる中でデサント側が強行した人事だったことが7日、関係者への取材で分かった。

 3代続けて社長を送り込んできた伊藤忠は一時、株主総会でトップ人事に反対することも検討。最終的に伊藤忠が会長を出すことで折り合ったが、会長に代表権はなく影響力が低下した。

 両社は現在、表向き友好関係を強調しているが、相互に不信がくすぶり、関係者は2020年東京五輪という商機への悪影響を懸念している。

 伊藤忠はデサント株の約25%を持ち、スポーツ用品を納入している。関係者によると、伊藤忠はここ数年、デサントに百数十億円という目標額を示し仕入れを増やすよう要求。伊藤忠出身の役員数の増加も求めてきた。

 伊藤忠は引き続き同社出身者を社長に据える方針だったとみられるが、デサント内で「伊藤忠に搾取されている」との反発が強まり、石本氏を社長に推す声が強まった。「それぞれが主要な株主を回り、お互いの人事に賛同を取り付けようと競り合った」という。

 最終的には伊藤忠が、敵対するのは得策ではない、と石本氏の社長就任を認めた。しかし、業界関係者は「伊藤忠には恩をあだで返されたとの思いがある」と指摘する。

 デサントは1990年代後半、ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスとの生産・販売契約が解消になり、経営が悪化。伊藤忠が再建に協力した経緯がある。

 取材に対し、デサントは「お話しできない」(広報担当)と回答。伊藤忠は「仕入れ目標を無理にお願いしたことはない。役員人事も最適な形を考えた」(同)と説明した。

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2013年12月7日のニュース