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安倍首相と猪瀬都知事 東京五輪大会組織委人事で足並みに乱れ

[ 2013年10月12日 06:00 ]

 安倍晋三首相が2020年東京五輪開催に向けた準備を総括する大会組織委員会会長に森喜朗元首相(76)を充てる方向で調整していることが11日、分かった。政財界やスポーツ界に幅広い人脈を持つ森氏を起用し、オールジャパンで準備に取り組む狙い。一方、東京都の猪瀬直樹知事は「人選はぼくのところでやる」と否定し、準備の前段階で早くも足並みが乱れている。

 首相周辺や自民党幹部によると、首相側は水面下で森氏に組織委会長への就任を打診。森氏は回答を留保している。近く、首相は森氏と会談し、正式に要請する見通しだ。最終的には東京都や日本オリンピック委員会(JOC)と協議して決定する。

 森氏は日本体育協会会長を長年務め、財界でもキヤノンの御手洗冨士夫会長やトヨタの張富士夫名誉会長らと親交が深い。海外でもロシアのプーチン大統領をはじめ顔が広く、東京五輪招致委員会の評議会議長を務め各国を飛び回り、招致実現の「最大の功労者」(関係者)との評価がある。

 組織委は大会の準備・運営を担い、政府や東京都、経済界、JOCなどとの難しい調整を担うため、首相は7年後の大会成功に向けて森氏の力は不可欠と判断した。

 一方、猪瀬氏は都庁で取材に「人選は安倍首相がやるわけではなく、ぼくのところでやる」と森氏の起用を否定。その上で、「(会長は)東京都とJOCで決める。いろんな人が今、こういう時期に便乗して出てくる」と不快感を表明。森氏について、適任かどうかは明言を避けたが「あちこちでいろんなことを好き勝手に書いている。ちょっとずれている」と話した。

 国際オリンピック委員会(IOC)は9月、JOCに対し、5カ月以内に組織委員会を設置するよう指示。IOC総会ではともに拳を突き上げて招致成功を喜んだ首相と猪瀬氏だが、開催準備の前段階で早くも足並みの乱れが露呈した。

 64年の東京五輪では安川電機社長を務めた安川第五郎氏らが組織委会長を務め、98年長野冬季五輪では元経団連会長の斎藤英四郎氏が就任。開催資金の確保が重要な仕事となったのが人選の背景とされ、今回も財界からの起用が有力視されていたが、既に東京都が4000億円の大会開催準備基金を用意しているため、関係者の間では「財界にこだわる必要はない」との意見が出ていた。

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2013年10月12日のニュース