×

“人類最強”狙う!吉田 カレリン超えで恩返し

[ 2012年8月15日 06:00 ]

金メダルを胸に帰国した吉田沙保里

ロンドン五輪日本選手団 帰国

 吉田沙保里(29=ALSOK)が“史上最強”の称号に狙いを定めた。ロンドン五輪で過去最多の38個のメダルを獲得した日本選手団本隊の約250人が14日午後、成田空港着の航空機で帰国。空港では五輪選手団としては過去最高となる1000人に迎えられた。空前のフィーバーのなか、レスリング女子55キロ級で3連覇を達成し、開閉会式で旗手を務めた吉田は出場について明言しなかったものの、9月の世界選手権(カナダ)出場を示唆した。

 無数のまばゆいフラッシュと大きな拍手が3連覇の偉業を称えた。ロンドン五輪で旗手の大役を務めた吉田は他の選手らと一緒に成田空港に到着。ロビーに足を踏み入れると、熱心なファンや居合わせた一般客が待ち構えていた。その数は約1000人。五輪の出迎えとしては過去最多の人数が集まる熱狂ぶりに「みなさんの応援がロンドンまで届いて力になった。出迎えもうれしかった」と声を弾ませた。

 04年アテネ五輪からの3大会連続の金メダルについては「アテネ五輪の時はまだ大学生だった。その時はまだ五輪の凄さを分かっていなかった」と振り返り、「アテネよりも北京、北京よりもロンドンと緊張感は増した。今回は試合の前は全然、眠れなかった」という。それでも「負けを知って臨んだロンドンで最高の笑顔を見せられたのは良かった」と重圧を乗り越えてさらに強くなった実感も得ることができた。

 日本選手として最多タイとなる五輪3連覇の偉業を果たした今、「少しゆっくりしたい」との気持ちはある。一方で、さらなる偉業へ向け、闘争心も再び湧き上がろうとしている。レスリングの五輪に次ぐビッグイベントは世界選手権。今年は9月27日からカナダ・ストラスコナカントリーで開催される。

 吉田は五輪と世界選手権を合わせて現在、12連覇。これは“霊長類最強”とも言われたグレコローマン130キロ級のアレクサンドル・カレリン氏(44=ロシア)に並ぶレスリング界の最高記録。「世界選手権に向けては考え中」と言いながら、「優勝したら抜けるので、カレリンを抜く史上最高にしたいという気持ちもある」と語った。

 吉田は帰国後、日本選手団の解団式に参加し最後の務めを果たした。会見では「旗手を務めた女子選手は金メダルが獲れないというジンクスは聞いていて、緊張もあった」と明かしたが、今回の五輪では周囲のサポート、激励、声援を力に変えて勝ち抜いた。解団式を終え会場を出ると、ホテルのロビーにはまたも多くのファンが拍手で送ってくれた。来月、“人類最強の女”となることこそが、何よりの恩返しとなる。

続きを表示

2012年8月15日のニュース