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伊調馨3連覇王手 初戦で難敵破り順当に決勝進出

[ 2012年8月9日 06:00 ]

女子フリースタイル63キロ級で五輪3連覇に王手をかけた伊調馨(右)

ロンドン五輪レスリング

 最大の難所を乗り越えたレスリング女子63キロ級の伊調馨(28=ALSOK)が、日本女子初の五輪3連覇に王手をかけた。初戦の2回戦で対戦したのは、昨年を含め過去67キロ級を3度制しているマーティン・ダグレニアー(カナダ)。「大きな大会ではいつも強い相手。今回もやっぱりそうだった」。前日に組み合わせが決まったときは、そう言って笑ったというが、北京五輪で1ピリオドを奪われた強敵に、いきなり伊調の攻撃が火を噴いた。

 開始15秒すぎにタックルから背後に回り1点を先制。さらにローリングを決めて2点を追加すると、そのまま3―0でピリオドを奪った。第2ピリオドは相手タックルで1点を先制されるが、終了間際に再びタックルでテークダウンを奪ったところが2分ちょうど。同じ得点なら最後に取った方が有利となるルールで、ピリオドを失うことなく強敵を退けた。3回戦はスウェーデン選手を破り、準決勝では09年に59キロ級で世界女王になったバトチェチェグ(モンゴル)を寄せ付けず、決勝に勝ち上がった。

 過去2度の五輪をともに戦った千春さんは一線を退き、たった一人の挑戦だった。北京五輪後、カナダに1年間の留学。帰国後は練習拠点を母校・中京女大(現至学館大)から都内に移した。男子レスリングの全日本合宿に自ら足を運び、技術を追求。従来のディフェンス力に加え、攻撃力もアップしたことは、準決勝までの3試合で一度も延長戦がなかったことに表れた。ロンドン入り後の4日の調整中に左膝を捻挫。体調は万全ではなかったが、女王の底力で金字塔に王手をかけた。

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2012年8月9日のニュース