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愛&佳純&平野は銀 中国に完敗も日本卓球史上初メダル

[ 2012年8月8日 06:00 ]

銀メダルを手に笑顔の(左から)福原愛、平野早矢香、石川佳純

ロンドン五輪卓球

 7日の女子団体決勝で、日本は前回北京大会優勝の中国にストレートで敗れた。第1試合のシングルスで福原愛(23=ANA)が李暁霞に1―3で敗れ、第2試合は石川佳純(19=全農)が丁寧に0―3。石川と平野早矢香(27=ミキハウス)が組んだ第3試合のダブルスでも勝てず日本卓球史上初めての五輪メダルは銀となった。

 中国の壁は、やはり高かった。日本卓球界にとって歴史に残る初の五輪決勝は、力及ばず完敗。それでも、表彰式で首にかけられた五輪メダルは鮮やかな銀色に輝いていた。3人の笑顔も同じように輝いていた。そして福原は感慨に浸った。

 「メダルをかけてもらって、夢じゃない、夢がかなったと思いました。メダル自体もかなり重いけど、ここまで来るのに支えてきてくれた人や、応援してもらった人の思いがたくさん詰まったメダルなので、もっと重く感じます」

 第1試合の福原が流れをつくりかけた。シングルス金メダルの李暁霞に第1ゲームを落として迎えた第2ゲーム。5―9からの6連続得点で奪取した。だが、そこまで。その後の2ゲームを連取された。続く石川はシングルス銀メダルの丁寧に第2ゲームでジュースまで持ち込む場面もあったがストレート負け。最年長の平野と組んだダブルスでも1ゲームを奪うのがやっとだった。

 男女通じて日本卓球初のメダル獲得。ここまでの道のりは平たんではなかった。福原は昨夏、右肘痛で休養を余儀なくされ、石川も今年2月に腰痛で大会を欠場。平野はせきに悩まされ、6月は2週間も練習ができなかった。今はラケットを力いっぱい振れる。その喜びを感じながら、3人が全力で戦い抜いた。

 以前の3人は仲間意識よりもライバル心が強かった。女子の村上恭和監督(54)は「仲良し3人組で強くなれるわけがない。対抗意識があったからこそ成長した」と言う。五輪シングルスのシード争いを続けた福原と石川は国際大会の遠征先で言葉を交わさないこともあった。一枚岩でなかった3人は今春の世界選手権団体で6大会ぶりにメダルを逃した。チームは崩壊寸前だった。

 だが3人が代表に決まると合宿などで一緒の時間を共有し、絆は深まった。まとめ役は最年長の平野。準決勝の前夜は福原と深夜まで語り合い、石川には対戦選手の情報を細かく伝えた。福原は平野に「お互い頼って頼られる信頼関係がある。私の性格を一番知り尽くしている」と感謝する。福原はおっとりした性格ながらプレーは速攻が武器。石川は左利きで大胆なプレーが持ち味。平野は真面目な性格で粘りが身上だ。認め合い、競い合った3つの個性が心を一つにして戦い抜いた五輪。メダルの色は「銀」でも、その輝きが消えることはない。

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