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内村、床&鉄棒でミス連発…フランス製器具を危惧

[ 2012年7月16日 06:00 ]

日本製よりも硬いというフランス製の鉄棒の感触を確認する内村

 ロンドン五輪で2大会ぶりの団体総合金メダルを狙う体操男子日本代表が14日、フランス・アルクで最終合宿を公開した。メンバーは本番で使用されるフランス・ジムノバ社製の器具を使って練習したが、世界選手権個人総合3連覇の内村航平(23=コナミ)が得意の床運動と鉄棒でミスを連発。期待されるメダル量産には、日本とは異なる用具への対応が鍵を握りそうだ。

 万能キングらしからぬ姿だった。広い館内に床運動のフロアが2面、鉄棒や跳馬が各3台もあるフランス・アルクの体育館。日本代表が14日に公開した練習でエース・内村は得意の床運動で失敗し、鉄棒では落下するなど調整途上を感じさせる内容だった。「少し苦戦している。(鉄棒は)勢いよく車輪を回しても、バーがしなってくれない」と珍しく弱音を口にした。

 12日に日本を出発し、13日からスタートした最終合宿。目的は時差調整とロンドン五輪本番で使用されるフランス製の器具への対応だ。内村が個人総合初制覇した09年ロンドンの世界選手権でも同じフランス製の器具が使用され国内合宿でも代表が出そろった5月からは同器具でトレーニングを積んできた。しかし、慣れ親しんだ日本製の器具と比べフランス製の床材は弾力が乏しく、鉄棒もしなりが少ない。「何回も練習をやって数をこなせば慣れると思う」と内村は6月に話していたがまだ完璧には器具を支配できていない状況だ。
 
 器具が硬くなると、体力面でも影響が出るという。反発力を得るためには日本製のものよりも強く床やロイター板を蹴ったり、バーをしならせたりすることが求められる。内村もスタミナを考慮し、跳馬では種目別決勝を狙わない方針を固めた。この合宿でも、「腕と脚が少し張っている」と話し、練習後のマッサージを以前より入念に施してもらうなど、細心の注意を払っている。

 チームは18日にロンドンへ移動し、28日の団体総合予選に備える。大目標は、04年アテネ五輪以来の金メダル奪回だ。「団体のことしか考えていない」と気合を入れる万能キング。本番までに器具に対する不安を払しょくすることが近道になる。

 ≪パワー型の欧米選手に有利≫内村が公開練習でミスをした床運動、鉄棒は特に器具の「硬さ」がクローズアップされる種目だ。昨年の世界選手権(東京)では日本のセノー社が器具を提供。同社製は床運動用フロア最底部に2000個以上のバネを敷き、その上にスポンジを重ねる仕様だったが、ジムノバ社製は全面がゴム。軽量で脚力がない日本選手より、パワー型の欧米選手の方が扱いやすくなっている。鉄棒のバーは日本ではワイヤを鉄で包んだものが主流で、しなり方が360度均等で円に近い。一方、ジムノバ社製のバーはステンレスで空洞がなく、上下のしなりだけ大きく、内村は「勢いとか力の入れ具合を変えないと(技が)できない」と話していた。

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2012年7月16日のニュース