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「赤い糸」でコンビ復活!朝日・白鳥組、五輪切符!

[ 2012年7月5日 06:00 ]

<ビーチバレー五輪代表決定戦>試合後、健闘を称え合う(左から)白鳥、青木、朝日、日高

ビーチバレーロンドン五輪男子代表決定戦

(7月4日 川崎マリエンビーチコート)
 6月のアジア大陸カップを制して獲得した1枚のロンドン五輪切符を懸けて、代表決定戦に出場した男子日本代表の2組が対戦し、朝日健太郎(36=フォーバル)、白鳥勝浩(35=湘南ベルマーレ)組が青木晋平(31)、日高裕次郎(25=ともにフリー)組にストレート勝ちし、2大会連続の五輪出場を決めた。今季2季ぶりにコンビを再結成した北京五輪9位ペアが完全復活を印象づけた。

 最後は白鳥が押し込んで、勝負を決めた。がっちりと抱き合い、静かに喜びを分かち合った。白鳥は「できればやりたくなかった。ここに来られたのも(青木)晋平と(日高)裕次郎のおかげです」とともにJAPANのユニホームを着て戦った敗者を思いやった。

 序盤から主導権を握り朝日がスパイクを次々と打ち込み第1セットを先取。第2セットは一時7点差をつけられたが「風が強いときは連続得点が決まる。基本に立ち返った」と冷静さを保った白鳥の好守からリズムを取り戻し、白鳥のコースを狙ったスパイクや朝日の強打などで点を重ねた。

 ビーチバレー史上初の代表決定戦。2組は10日前までチームメート。国別対抗戦のアジア大陸カップを一丸となって戦い「厳しい」との下馬評を覆して優勝した。だが手にした五輪切符は1枚。仲間同士で争う残酷な戦いが待っていた。制したのは、より五輪への思いが強い朝日と白鳥。朝日は「苦しかった。正直ホッとした」と言って、涙をこぼした。

 今季2季ぶりにコンビを再結成した。北京五輪では日本男子初勝利を挙げて9位に食い込み、その後も国内では無敵を誇ったが「強化していく中で、チームがうまくいかなくなった」(白鳥)。10年シーズン中盤以降は試合中も全く会話しないほど関係が悪化。同年限りでコンビを解消した。

 昨季は互いにペアを何度も組み替えたが、結果が出なかった。日本勢の五輪出場は危機的状況に追い込まれていた。昨年末、2人は日本代表の山本知久監督に再結成を持ちかけられ、ともに「やりたい」と答えた。

 春先は朝日の腰の故障で出遅れたが、気持ちが一つになった日本最強ペアが息を吹き返すのに時間はかからなかった。山本監督は「俺たちじゃないと勝てないと、気づいたと思う。1年間は無駄ではなかった」と2人の精神的な成長を喜んだ。

 朝日は「離れてはいましたが、僕たちは赤い糸で結ばれていたんだと思います。さらに太くして、ロンドンに臨みたい」と言った。全競技を通じて日本選手団最後の代表に滑り込んだのは、深い絆で結ばれた2人だった。

 ◆朝日 健太郎(あさひ・けんたろう)6人制バレー日本代表で活躍後、02年に転向。北京五輪は9位。今年、2季ぶりに白鳥とペアを再結成した。法大出、フォーバル。1メートル99、94キロ。36歳。熊本県出身。

 ◆白鳥 勝浩(しらとり・かつひろ)06年から朝日とコンビを組む。北京五輪は9位だった。東海大出、湘南ベルマーレ。1メートル90、87キロ。35歳。東京都出身。

 ▽ビーチバレーのロンドン五輪への道 従来はツアーの成績による世界ランキングのみで五輪出場が決まっていたが、今回から一部に予選が導入された。男女とも出場24チームの内訳は世界ランキング上位16チーム、各大陸予選優勝5チーム、世界最終予選上位2チーム、開催国。日本の男子ペアは世界ランキングで出場権を獲得できず、優勝すれば1枠獲得できる、1国2組による国別対抗戦のアジア大陸カップに出場。朝日、白鳥組と青木、日高組は準々決勝でイランに3―2、準決勝で中国に3―1、決勝でオーストラリアに3―2で競り勝って、出場枠を確保した。

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