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妹はAKB研究生 サイード横田仁奈が代表メンバー入り

[ 2012年6月30日 06:00 ]

ロンドンの抱負を聞かれたサイード横田はボードに「色んな思いを胸に精一杯演技する!」と書き込んだ

 日本体操協会は29日、都内で新体操団体のロンドン五輪代表「フェアリー・ジャパン」のメンバーを発表し、サイード横田仁奈(にな、18=ふじしまク)が初の五輪出場を決めた。サイード横田はパキスタン人の父を持つハーフで、妹はAKB48研究生メンバーの絵玲奈(15)。表彰台の“センター”に向かって、好演技を誓った。

 初の五輪出場が現実のものとなり、サイード横田が感極まった。会見では、選考で漏れたライバルたちの顔が脳裏をよぎったのか、大きな瞳から大粒の光るものがこぼれた。「小さい頃からの夢だったので、凄くうれしい。いろんな方に感謝の気持ちでいっぱい」と感無量の気持ちを吐露した。

 ロンドン五輪に向け、09年12月にチームは始動。ロシア人のインナ・ビストロヴァ氏をヘッドコーチとして招へいし、ロシアを拠点にトレーニングを積んできた。今年5月、エースだった遠藤が試合中に左大腿骨を骨折するアクシデント。代表候補から外れ、新たに3人が加わって6月から最終選考を兼ねたクロアチア合宿を行った。山崎浩子強化本部長が「フェアリーというより、サバイバル・ジャパンという状態だった」と振り返る厳しい代表争い。サイード横田は、1メートル70の長身を生かしたダイナミックな演技で「総選挙」を勝ち抜いた。

 芸能界で奮闘する年下のライバルには負けられない。妹・絵玲奈は、AKB48の研究生。「お互い頑張らないといけない立場。お互いが一生懸命、努力していきたい」と切磋琢磨(せっさたくま)してきた。サイード横田自身もAKB好きで、練習のウオーミングアップ前にはチームメートと「ヘビーローテーション」を歌って踊ったこともあるという。まだ妹はスポットライトを浴びる立場にはいないが、姉が一足先に選抜メンバー入りを果たした。

 世界選手権3連覇のイタリアなど、メダル獲得へ欧州勢の壁は高い。それでも、「今までやってきたことを、精いっぱい演技したい」と静かに気合を入れた。五輪表彰台の“センター”へ。確実に、風は吹いている。

 ▽新体操 個人と団体があり、日本は個人では2大会連続で出場を逃している。団体では04年アテネ五輪で出場を逃して以降、全国から若手を選抜して集中的に強化。北京五輪では10位、新チームで臨んだ10年世界選手権6位、ロンドン五輪出場を決めた11年世界選手権は5位に入った。競技方法は北京五輪は5人によるクラブ、フープ(2人)・リボン(3人)だったが、ロンドン五輪では5人によるボール、リボン(2人)・フープ(3人)で行われる。

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