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「日の丸おじさん」引退撤回!夏季五輪13大会連続参戦

[ 2012年6月25日 06:00 ]

日の丸おじさん山田直稔さんとなでしこJAPAN佐々木監督

 7月27日開幕のロンドン五輪で「夏季13大会連続参加」の超人的記録を打ち立てる人がいる。金ぴかの帽子に日の丸扇子、「オリンピックおじさん」「日の丸おじさん」として知られる山田直稔(なおとし)さん(86)だ。前回08年の北京五輪後に引退宣言したが、撤回してロンドンへ向かう。今回のお目当てはサッカー「なでしこJAPAN」。7月25日の初戦から応援すると、佐々木則夫監督と約束を交わした。

 1964年(昭39)の東京五輪から応援を続けて48年。その後も各五輪会場で、羽織はかま姿で日の丸の扇子を振り、会場を盛り上げる姿がテレビなどで浸透した。

 4年前の北京大会後、高齢を理由に引退を表明。片道約12時間前後の長旅となるロンドンは、86歳では厳しいのではと考えていた。しかし、「(ロンドン五輪の年が)来てみたら元気だしね」と13大会目の応援を決めた。

 開幕に向け、最近はゴルフで体力づくり。18ホールを軽く回る体力に、周囲も「大丈夫だね」と背中を押す。「40何年間も大きな声だして“ニッポ~ン!”て、何万人にも聞こえるようにやってるでしょ。それが長寿の秘けつかも」と五輪応援こそがエネルギーの源だ。

 出発予定日は7月23か24日。到着後、まず、25日にロンドン近郊コベントリーで行われる「なでしこJAPAN」の初戦に駆けつける。

 実は、五輪でサッカー応援に出向くのは初めて。野球ファンだったため、これまで団体競技の応援は野球中心の日程を組んできた。初のサッカー観戦を決めたのは、もちろん、なでしこたちの注目度もあるが、佐々木監督との“男の約束”が大きい。

 昨年秋、銀座のクラブで佐々木監督夫妻と偶然同席。午後7時前から夜中まで飲み明かした。その際、開会式の27日までにロンドン入りすることを伝えると、佐々木監督に「ダメですよ、25日はうちの試合ですよ!」と来場を求められた。その後、12月に「ゆうもあ大賞」授賞式で再会。2度の対面もあり、「これは行かないとね」と応援魂に火が付いた。

 「なでしこは金メダルを獲りますよ!獲らないと。監督も一生懸命やってるよ」とメダル獲得に太鼓判。「長年やってるとね、スタンドのどこにいれば目立って、どうすれば観客が盛り上がるのかは分かるのよ。ロンドンの応援テーマは“ありがとう”。もちろん、震災の時に助けてもらったことへのお礼もあるし、ありがとうって一番いい言葉でしょ」と、応援コンセプトも決めている。

 「五輪に行くとね、世の中の金もうけや、好いたほれたは次元が低いものになる。人のエネルギーを感じて、地球上に生きている喜びを感じる。こればっかりは行かない人には分からない」

 本番を前に気持ちは高まるばかり。「次のリオデジャネイロは90歳だしね」と話し、五輪人生の集大成として、なでしこJAPANの活躍を見届ける。
 
 ◆山田 直稔(やまだ・なおとし) 1926年(大15)4月26日、富山県生まれ。ワイヤロープなどを扱う浪速商事の会長。東京木場ホテルのオーナーなども務める。これまで夏季12大会、冬季1大会(長野)に来場。ロサンゼルス五輪で、長嶋茂雄氏に「インターナショナル・チアリーダー」と評され、以来「国際オリンピック応援団長」の肩書を使用。大相撲ファンでも知られる。

 ≪ロンドンでの応援旗は特注品!≫今回の応援用に製作した旗を初公開してくれた。これまで持参していたのは普通の五輪マークの旗だったが、そこに藤子不二雄Aさん作のイラストを配置。中央には「笑」という文字の書を置いた特注品だ。これまで、笑顔で世界中の五輪ファンと交流。その思いを結集した旗で「これをロンドンで大きく振りますよ!」と気合十分。

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