G1地区選手権

【宮島G1中国地区選手権】下克上に燃える若武者6人

[ 2016年2月9日 05:30 ]

苦手意識を払しょくした地元での奮起を期待したい麻生慎介
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 宮島ボートのG1「第59回中国地区選手権」があす10日から開催される。6日間バトルは初日から強豪が激突。後半3個レースで各地区ごとにドリームトライアルが行われ、上位2選手が2日目12Rの「瀬戸三剣ドリーム」へ進む運びだ。また、クラシック出場権のない選手はこれがラストチャンスだ。今回は若武者6人をピックアップ。瀬戸内から全国区へ駆け上がれ!地元広島からは麻生慎介(30)と船岡洋一郎(28)。岡山は末永由楽(29)と渡辺和将(25)。そして山口から海野康志郎(28)と森野正弘(30)を紹介する。

 ◆麻生慎介 苦手払しょく地元で奮起
 意外だった。麻生は12年の地元周年でG1初優出。師匠の市川哲也がインで麻生の2コース。結果はセンター今垣光太郎に捲られ5着だった。

 「仕上がりはすごく良かった。でも、カベになれなかったし、悔いが残るレースでした」

 実はそこから宮島でなかなか優出することができなかった。ようやくベスト6入りをしたのが昨年5月戦。約3年3カ月ぶり、13節ぶりの優出だった。そこからは10月戦、正月戦とコンスタントに優勝戦に乗っている。

 「宮島では事故が多かったんですよ。走るたびに事故をしてたんで…。リズム的に苦手意識もあったけど、今はそういうのはない。今のエンジンになって3回走っているし、いいスタートラインに立てるとは思います」

 昨年は10優出3Vでコンスタントに優出をしてきた。前節の徳山63周年も予選は突破している。

 「去年はエンジンを出せている感じはなかったけど、内容的にはまずまず。良かったのは旧タイプのエンジンが多かった。ペラはもらったまま1走行ってみたりもするんですけど、しっくり来なかったらすぐに叩き変えます。重視しているのは乗り心地。自分のしたいレースができるようにして行きます」

 昨年3月で30歳になった。ここからは充実の時。さらに上のステージでの飛躍に期待が懸かる。

 「落ち着いてレースできていると思うけど、もう少しパンチ力が欲しい。いいメンバーのところで走って、結果を残したい。地区戦が終わってF休みに入るので、しっかり締めたいですね」

 地元ではエンジン運に恵まれなかった面もあったと言う。それでも、現行エンジンで2回優出。「目立つエンジンが何個かあるし、エンジン差は結構あると思います」。良機に巡り合うことができれば大いに楽しみだ。

 ◆船岡洋一郎 得意の鋭発から攻め抜く
 地元なら自慢のスタート力に磨きがかかるか。船岡は昨年の平均スタートがコンマ14。どのコースでも的確に仕掛けを決めるのが魅力だ。決まり手の傾向を見ても差しより捲りや捲り差しの回数が多い。気っぷのいい攻めに期待が集まる。

 「自分の武器はスタートと思ってるので、スタートをしやすい足を求めてます。宮島はもちろん嫌いじゃない。スタートは行けるんで、もうひと段階上のスタートを決めるつもりでいかないとダメでしょうね」

 今回はA2級での出走となる。前期勝率は6・17。惜しくもA1級キープを逃してしまった。それでもA1級の実力は持っている。

 「昨年はA2に落ちたし、ふがいない1年でした。特に低出力のエンジン出し。納得できる仕上がりは少なかった。でも、昨年に比べたらエンジン出しもいろいろ試して出せるようになってきた。その意味で調子自体は悪くないです」

 年末の若松で優出すると正月の地元戦は11戦して10走で舟券絡み。優出こそならなかったが、安定感を見せた。さあ、今度は一つ上のステージでアピールといきたい。

 「G1は失敗が許されないところですね。地元なんでいつも以上に気合は入ってます。現時点でA2だし大きなことは言えないけど、行けるところまで行きたいです」

 誇れるスタート力を武器にして、強豪をバッタバッタとなで斬ってもらおう。

 ◆末永由楽 地力アップ挑戦あるのみ
 飛躍の下地はできた。A2級とB1級を行ったり来たりしたのはもう昔。末永由はA1級にしっかり足を付けている。

 「去年はA1級にもなれたし、それをキープできた。勝負どころでしっかりやれたかなと思う。点数が必要な時にしっかり取れたので良かった。最後の方はイマイチでしたけど(苦笑い)」

 前期は109走して5、6着が13回と大敗が少なかった。年間5優出で優勝なしはちょっぴり寂しいが、着実に地力を付けている。

 「今年は去年の終わりのころの反省を生かして、ターンも変えていかないと。記念に行くと全然ダメなんで。結果も大事ですけど、チャレンジという気持ちで行きたい」

 前々節の尼崎63周年はメーカー機を強力に仕上げ準優入り。足さえ来ていればやれることを証明した形だ。

 「ペラ調整は得意ではないけど、好きな方だと思います。ただ、ここ何カ月ははまってない。微妙に新ペラも変化してきているので、その辺には対応していきたい」

 宮島は走る機会も少なく、一昨年の7月以来となる。めぼしい実績は13年7月の優出くらい。ただ、あの頃と比べれば実力もアップ。苦手イメージも見せなかった。

 「好きか嫌いかと言われれば好きな方。同じ瀬戸内ですしね。調整も少し児島と似ている部分があるのかもしれない」

 8月31日になれば30歳となる。20代最後の1年、大きな仕事を成し遂げてもらおう。

 ◆渡辺和将 着実経験積み開花の時
 昨年はヤングダービーでG1初優出を決めた。前節の徳山62周年では準優入り。予選トップ通過を狙える位置に付けた。渡辺は少しずつではあるが、記念戦線でも存在を見せている。

 「去年はヤングダービーで優出できたのは良かったけど、それだけなんで。もう少し優出を増やしていきたい。その時に引いたエンジンによって全然違うので、リズムとかはあまり気にしてない。自分がやることをずっとやっているだけです」

 昨年は7優出で3Vを数えた。A1級も6期連続でキープしており、すっかりA1ランカーとして定着している。ただ、記念のあっせんは7節のみ。ここからがアピールのしどころとも言える。宮島は出走回数が少なく「印象があまりない」と言うのが本音だ。

 「仕上げで重視しているのは行き足。スタートしやすい足を求めてます。そこから伸びとか、エンジンなりに付いてくれればという感じ。宮島は岡山からも近い場なので頑張りたいですね」

 岡山支部は茅原悠紀に吉田拡郎など核となる若手がいる。末永も同じことを言っていたが、刺激になる部分も多い。

 「考え方とかレースに対する姿勢はすごいなと思います。もう学ぶところしかない。レベルが高くて実戦できない部分もある。そのあたりはある程度努力してやっていかないとダメですね」

 ワンランク上のステージで活躍する両者の背中を見て得ることもあると言う。初めてG1に出場した新鋭王座からはや4年。着実に経験を身につけ、花開く時はすぐそこまで来ている。

 ◆海野康志郎 デビュー以来最高のリズム
 充実の時を迎えた。今期の海野は勝率8点に届く勢い。もちろん自己最高ペースで、本人もそれを意識している。

 「8点は意識してますね。リズムはデビューしてから一番。この数字を意識すればダービーも見えてくるし、勝率を追いかけています」

 進撃の陰には意識の変化があった。レースに臨む心持ちを見直し、大きな飛躍につながった。

 「こうなったら嫌だなとかマイナスに考えないようにしました。何とかなるやろうと強気で行く感じ。変なエンジンを引いても、戦える状態に持っていけるようになったのも大きいですけどね」

 宮島は2節前に走ったばかり。それもオール2連対で優勝をしたのだから期待は高まる。宮島は初出走でいきなり優出。8節走って6優出2V。ドル箱水面といっていい。

 「宮島は回数を走ってないけど得意水面だと思う。前回は最近のリズムの中でこういう状態にしたいなというのからは遠かった。いいエンジンではなかったですからね」

 周りがあまりエンジンを出してこず、うまく乗り切った面もあったと言う。昨年はG1を9節走った。5回準優には乗ったが、優出にはいたらなかった。

 「あと一歩のところなんですよね。外枠で乗っているのもあるんですけど…。絶対ノルマとして準優には乗りたい。それで優勝戦に乗れれば最高ですね」

 その宮島を走っている時、隣の徳山で62周年が開催されていた。地元の先輩・谷村一哉がG1初Vを決めた。

 「負けないようにという気持ちも持ったし、やっぱり記念の方を走りたいと思いましたよ」

 自己変革が結果として結びつく。そこから生まれるのは“自信”の2文字かもしれない。リズムもメンタルも最高の今、テッペンに上り詰めても何ら不思議ではない。

 ◆森野正弘 記念連戦 今こそ壁破る
 大きなカベにぶち当たっている。記念で結果の出ない日々。森野は突破口を見いだそうと奮闘する。

 「今はのまれているというか、力の差を走るたびに感じます。戦えるのかなと不安を持ってレースに向かってる。場慣れをして、自信を持って臨めるようにしたい」

 デビューから期ごとに着実に勝率を上げた。6期目にA2級、8期目にはA1級と階段を一歩一歩駆け上がった。それでも納得の様子はない。

 「記念のあっせんが入って勝率を下げて、A1のボーダーに届かなかったこともある。自分の中ではまだA1級でないと思ってます。記念を走って勝率を取ってA1になれたらと思います」

 取材にあたり、丁寧に言葉を選んで話してくれた。自分の置かれている立場を冷静に見つめている。ここから上へ行くには何が必要か。課題も明確にとらえている。

 「記念へ行って足りないのは仕上げるスピード。皆、早いですね。まだ調整に自信がないから、それなりに動いていればこの足を崩したくない。もっと上を目指すとなるとリスクもあるし…。調整で守りに入る部分もある。気持ちの差がありますね」

 森野は16年の中四国地区スター候補に選ばれている。それもあって記念あっせんも入る。今こそアピールのチャンスだ。

 「スター候補は今年最後。来年からは実力で呼んで頂けるようにならないといけない。だから今年はしっかり走りたい」

 今年は尼崎63周年から2月住之江59周年まで4節連続で記念あっせん。

 「何とか結果を出したい。得たものを出して、名前を売りたいですね」

 ハイレベルの舞台でもまれることで次への道も開く。真のスターへとなるべく、ここで猛アピールに期待しよう。

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