G1地区選手権

【G1近畿地区選】近畿を制すは全国制す

[ 2014年2月5日 05:30 ]

地元でのレースに燃える石野
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 ボートレース住之江はG1太閤賞の余韻もさめやらぬまま、あす6日からは「G1近畿地区選手権」(11日まで)が開催される。“近畿を制すは全国制す”と言われているようにハイレベルの争いは必至。今回は各県のポイントゲッター石野貴之(大阪)、今垣光太郎(石川)、魚谷智之(兵庫)、馬場貴也(滋賀)の4人をピックアップした。

◇次世代エースの石野に期待

 今年も正月早々にハイレベルのオール大阪「王将戦」を連覇。これ以上ない滑り出しを切った。「優勝戦の1号艇で連敗中(昨年4月丸亀【2】、9月常滑F)だったんで正直ホッとしましたよ」

 それにしてもエンジンがしっかり仕上がった時の石野はケタ違いの強さを発揮する。たとえば王将戦の初日「王将ドリーム」。圧倒的1番人気に支持されていたイン松井繁に対して、5コースから目の覚めるような全速差しで突き抜けている。

 「いつも外枠の時はそこ(開いた所)を狙ってハンドルを入れてますからね。それにオール大阪の時は出足が強力やったし、乗りやすさも抜群だったんでそんなレースも出来たと思います」

 ただ凡機を引いてしまった時に少々不安残しなのも事実。

 「そうですね。まだエンジンに左右されてるところがあります。いいエンジンを引けば仕上がる確率は高いと思うんですが、悪いやつを引くとペラに対応できてない」

 次世代エースとしてすでに十分な実績を残している石野だが、さらに強大化するためにはエンジン出しが一番の課題になりそうだ。

 今回は王将戦、太閤賞に続いて3節連続で舞台は地元住之江。調整面、スタートにおいてはかなりのアドバンテージか。

 「他県の人より走ってる回数も多いんでそのへんは有利だと思う。まあ地元を走る時は全部勝つくらいの気持ちで走ってますよ」

 まだボートレースクラシック(総理杯)の出場権がない石野。そこに話を向けると「それを一番意識して走ります。やっぱり今年最初にSGだし出たいです!」と即答。 どんな大物が相手でも一瞬で艇団を切り裂く強烈な全速差し。最強の武器を引っさげて2010年12月びわこ以来2度目地区戦Vを狙う。

◇輝き戻ってきた今垣

 どっかのアイドルグループの名言じゃないけど「努力は必ず報われる」は今垣のような選手にピッタリ当てはまるような気がする。SG優勝8回を誇る“北陸の皇帝”もF事故多発、出走回数不足によって3期前にはB2級の屈辱を味わった。それでも常に前を向いて走り続ける姿勢に変わりはない。

 そんな今垣が前期(昨年5月)あたりから、徐々に輝きを取り戻してきた。一般戦とはいえ前期はV3。9月徳山周年では優出2着とあと一歩のところまで来ていた。

 今年に入っても地元の正月レースをオール2連対の貫禄V。リズムは良好だ。

 「リズムは悪くないですよ。ペラもだいたいわかってきたけど、それでもまだエンジンなりの仕上がりになります。いいエンジンを引けば仕上がってくれるんですけど、ボロを引くと難しいですね。特に住之江は悪いやつを引くと乗り心地がこないんで、いいエンジンを引いてペラをしっかり合わせたいです」

 直前の太閤賞ではその願いが叶わず低勝率のエンジンに前検から整備に着手。何とか戦える感じにはなっていたが思うようなレースができないまま予選落ち…。その分、この近畿ダービーにかける思いは強い。3月ボートレースクラシック(総理杯)の最終チケットを手に入れるため全身全霊で臨んでくることは間違いない。

 「地区戦は優勝を狙います。今年の目標が賞金王(グランプリ)に出ること。だから一つでも多くSGに出たいんです。そこで優勝すれば行けそうなんでね。18番目でもいいから乗って最後の6人に残りたいですね」

早くも暮れを見すえていたコウタロー。まずは“近畿No.1”の称号を頂く!?

◇魚谷、甦れスーパーターン

 8点台をキープしていた4、5年前に比べるとここ数年は目立った活躍がない。もちろん高いレベルでのことだが、SGレースで魚谷本来のスーパーターンが見られなくなった。

 「新基準のペラに変わってから乗り心地に重きをおいてたんですが、それが失敗。伸びがこなくなって、F事故でスタートも行けなくなって後手後手を踏むケースが多くなってました」

 悪循環の繰り返しで走っていたが、近況は昨年12月丸亀で優勝するなどリズム自体は悪くない。

 「うん。すごく悪かった状態からは抜け出して上向きですよ。ペラのミスマッチも解消されつつあるし、今の状況をポジティブにとらえてます」

 住之江は昨年10月の高松宮記念でエース3号機を駆使して優出【3】。前走太閤賞でも前検からしっかり手応えを感じ取っている。調整の方は問題なさそう?

 「宮杯、太閤賞といい感覚のまま近畿ダービーも迎えられると思うんでアドバンテージはしっかり生かしたいですね。もちろん(優勝の)チャンスはあると思ってます」

 3月に開催されるSG第1弾ボートレースクラシック(総理杯)の舞台は地元尼崎。まだ出場権利のない魚谷にとっては何が何でも勝ちたいシリーズ。

 「尼崎は(ファン、関係者が)自分に味方してくれるイメージがあるしSG、記念にかかわらず一般戦も含めて全部勝つつもりでいつも臨んでますよ。今回の住之江も準地元だし気合が入りすぎのところはあるけど、いいモチベーションを保ったまま臨みたいですね」

 完全復活とまではいかないものの、徐々に切れ味は戻っている。あのジャックナイフのような鋭い高速ハンドルで艇団を切り裂く。そんなシーンが見られるのも時間の問題だ

◇殻を破れ!馬場

 天下の韋駄天として名をはせる。2年前のびわこで1分42秒2という上がりタイム。驚がくの数字と言うよりほかない。そんな天性のスピードを持つ彼だからこそ、もっとインパクトのでかい活躍を期待したいが…。

 「G1、SGでもっと成績を残さないとダメですね。今のままでは上に行けないと思ってます」

 決して頭打ちというわけではない。ただ、成長のスピードはいささか不満。殻を破らないと…。本人も十二分に自覚している。1Mでは決め手のある捲り差しハンドルを入れるタイプ。とにかく課題は道中の走りだ。

 「昨年はSGを4回走ったけど、上の人はみんなうまいです。特に競った時がうまい。自分にはそこが足りません」

 確かに接戦になればもろさも見せる。スピードは折り紙付き。外を握って回る分にはいいが…。それだけでは接戦をモノにできない。あとは走る位置と判断力。自らの乗艇法を含めてそのあたりを勉強しているわけか。

 「ゼロ台のスタートを行くタイプではないし、コースも動くタイプと違います。枠なりからターンで勝負したいですね。中島孝平さんみたいなスタンス。だから乗り方を含めて勉強してます」

 今は“受験生”のような感じかもしれない。さしずめ試験の舞台が近畿地区戦というわけだ。いろいろと取り組んでいる成果が出るのかどうか。何と言ってもドリームメンバー。滋賀のエースとして周囲の視線が注がれる。

 「滋賀のエース?まだまだです。守田(俊介)さんとかすごいですし。でもドリームに乗れることは本当にうれしい」

 初日ドリームに6号艇で登場する。1Mは鋭いハンドル。そしておそらく接戦になる道中こそ注目したい。強豪相手に競り勝てるようなら、今年の馬場は“本物”だ。

◇【大阪】“最強支部”SG覇者6人登場

 全国最強支部とあってSGウイナーが6人登場する。松井繁、田中信一郎、太田和美がシリーズをきっちりと引っ張っていくだろう。松井は当地前回10年の地区戦を制している。その前の06年大会で優勝しているのが田中。両者は初日ドリームで好枠を固める。地元ワンツーで序盤から“大阪ムード”を作り上げる。

 丸岡正典、湯川浩司の銀河系コンビもV圏内といえる。湯川は昨年の決定戦に出場。休み明け2節目となるだけに、ここらでパワー全開といきたい。若手の注目は岡村仁と西村拓也。岡村は昨年の江戸川周年でG1初Vを遂げた。ひと回り大きくなった印象だ。西村は道中しぶとく、実績機を手にすればベスト6入りも十分に可能だ。ほかでは女子レーサー・鎌倉涼に熱視線。2日目ドリームは4号艇で登場する。存在感をアピールしたい。

◇【兵庫】ベテランから若手まで粒ぞろい

  支部最多の16人が住之江に乗り込んでくる。ベテランから若手まで粒ぞろいの印象だ。注目は前節の太閤賞で好仕上げを見せた吉川元浩だろう。昨年は16優出V7。今年も地元正月戦で優勝と好ペースを刻んでいる。先の浜名湖周年でベスト6入りは吉田俊彦。スピードは一級品で、エンジンさえ仕上がれば十分にチャンスは秘めている。

 若手では稲田浩二に期待を込める。住之江は前回一昨年の1月戦でV、10年の近畿ダービーでは優出を決めている。休み明け初戦は気がかりだが、自慢のスリットダッシュで魅せたい。小坂尚哉と和田兼輔は住之江連続あっせん。調整の利を生かして序盤から飛ばしていきたい。ほかでは当地3場所連続優出中の向所浩二に注目。快速に仕上がれば一発の魅力がある。センター筋からの捲り攻勢が穴党のハートをくすぐる。

◇【滋賀】当地巧者多く好配演出の期待

 女子レーサーの香川素子、遠藤エミを含め12人が登場する。太閤賞からのメッカ連続あっせんは川北浩貴と吉川喜継。一昨年福岡SG全日本選手権での快進撃が記憶に新しいところか。好パワーで優勝戦1号艇まで上り詰めた。道中のさばきは確か。強力足がかなえば、大いに存在感をアピールできるだろう。吉川は昨年の太閤賞で優出。その後の10月一般戦でも優勝を飾っている。当地実績はいい。

 一昨年の児島周年覇者・深井利寿も住之江の成績は悪くない。昨年末に当地を走ったばかりだ。穴っぽいところでは山本光雄を推奨しておく。住之江は00年以降で10優出V1を数える。古い話になるが、02年の当地近畿ダービーでは優出。当地ではエンジンを出してくるイメージがある。

◇【福井】中島、今垣中心に“少数精鋭”

 福井支部は昨年の賞金王決定戦で優出【2】着の中島孝平に期待がかかる。当地は10年の決定戦V。その年は近畿ダービーに高松宮記念で優出と実績は申し分ない。予選は手堅くまとめてくるだろう。今垣光太郎、石田政吾、室田泰史は太閤賞から当地連続あっせん。今垣はドリームに選ばれながらも、エンジン出しに苦しんだ。巻き返しといきたい。室田は10年の太閤賞でベスト6入り。「住之江は好きな水面ですよ」。ここ4節で2優出と結果も残している。

 若手の注目は松田祐季と萩原秀人だろう。松田は前節の浜名湖周年でG1初優出を決めた。リズム良く住之江に乗り込んできそうだ。萩原は10年にSG3優出をしたこともある実力者。好エンジンを手にすれば進撃の可能性は秘めている。

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