G1地区選手権

【G1九州地区選】華麗さのなかに豪快さ、瓜生正義

[ 2014年2月5日 05:30 ]

昨年に続き今年も大活躍を誓う瓜生正義
Photo By スポニチ

 ボートレース芦屋「G1第60回九州地区選手権」は2月6日に開幕、11日まで連続6日間、開催する。初日、2日目にはダブルドリーム戦が組まれている。初日12Rでは「福岡ALL STARドリーム」、2日目12Rでは「九州3県ドリーム」がそれぞれ行われる。

 初日はボートレース界の第一人者“正義のヒーロー”瓜生正義が1号艇で登場。誰がこの瓜生の逃げに待ったをかけるか。センター先攻めの吉田弘文か、それとも4カド捲り差しで攻め込む岡崎恭裕か。

 2日目の第2戦は福岡、佐賀、長崎の九州3県から選ばれた6選手によるドリーム戦。2014年、快調に滑り出した佐賀の若きエース、峰竜太が1枠のアドバンテージを生かし、逃げ勝負だ。好調、地元のベテラン、今村暢孝や深川真二の走りにも期待が集まる。2014年、九州No.1の栄冠は誰の頭上に輝くか。

 “正義のヒーロー”は2014年も健在だ。

 華麗さのなかに豪快さを秘めている。これが瓜生正義の走りである。

 2013年は瓜生の年だったと言っても過言ではないだろう。平成25年優秀選手表彰で最高勝率選手のタイトルに輝いた。その航跡を振り返ってみよう。10月、平和島で2度目の全日本選手権を制覇。5年連続でSG優勝、通算で7個目のSGタイトルを手にした。

 暮れの大一番、賞金王決定戦(住之江)に、ただ1人、獲得賞金1億円越えで出場。トライアル1回戦でイン逃げを決め、上々の滑り出しを見せたが2、3戦で(5)(6)着に敗れ、ファイナルステージに立つことは出来なかった。ただ、ひとつ悔いが残るシリーズだったかもしれない。

 昨年は福岡の正月レースを皮切りに賞金王決定戦まで28節走っている。最初に優勝したのが2月若松で行われたW優勝戦。その後、次々に優勝を積み重ね、賞金王決定戦直前の徳山MB大賞で7度目の美酒を味わっている。そのV7の中に3度の当地Vが含まれている。4月の日本トーター杯でイン逃げを決め優勝。芦屋は走る機会も多く抜群の成績を残していながらどう言うわけかG1戦では勝てず“七不思議”と言われていた。

 そのG1戦で2コース差しを決め当地G1初Vを飾った。8月のお盆シリーズ「オール九州選抜戦」では、11連勝の完全V。28走し1着22本、そしてV3という驚くべき数字を残した。当地では向かうところ敵なしだ。

 9月、今度は徳山周年で徳山G1初V、勢いは加速するばかり。

 好調を維持して迎えた10月の全日本選手権(平和島)ではエース機をゲット。予選を(1)(1)(1)(2)(1)(4)の成績でトップクリアすると準優もパワーで圧倒して優出を決めた。そして1号艇のアドバンテージを生かしたイン逃げで60代のチャンピオンに輝いたのである。  
 2013年を振り返ると年間を通して好不調の波がなかった。レースの巧さ、スタート力。それに確かな整備力。これが瓜生の強さである。

 取り口をみても強引にコースを主張するわけでもなく。枠なりを基本にコースを選択、それでいてこの成績を残しているのだから見事という他はない。天才、瓜生のボートIQの高さだろう。

 「昨年はイメージ通りのいい1年でした。今年もリセットして新たな気持ちで走りたい」。気負うところもなく、今年の抱負を語った。

◇熟練の技、今村暢孝

 アッと驚く走りで2014年、最初のレースを優勝で飾ったのがベテランの今村暢孝だ。 
 当地で行われた福岡県内選手権大会。愛弟子の郷原章平が3コースから先攻め。今村は右隣の4カドから会心の捲り差しを決めたのである。

 今村は現在、やまと学校の植木通彦校長と同期の59期生。これまでSG競走で5回の優出、G1戦に至っては30回の優出でV5という輝かしいキャリアを残し、選手持ちから備え付けにペラ制度が変わって再び輝きを取り戻した1人だ。

 昨年の10月平和島で行われた第60回全日本選手権で優出、ベテラン健在をアピールした。2014年前期勝率は7・90、全体順位で5位という成績にもビックリ。その内容も9度の優出でV3。125走して6着1本にも驚く。

 当地との相性も群を抜いている。これまで周年記念でV2、さらに第45回九州ダービーを取ったのも芦屋である。

 2014年も最高の滑り出し。49歳、年齢を感じさせない走り。今回の九州ダービーでもV有力候補の1人だ。

◇飛躍の14年、赤坂俊輔

 長崎から出場が決まっているのが赤坂俊輔、石橋道友ら7人、少数精鋭である。なかでも期待されているのが56代(唐津)チャンピオン赤坂だ。

 このレース、インの三井所尊春が痛恨のF。3コースの赤坂は恵まれ優勝だったがG1初優出で初Vの快挙だった。

 レースに派手さはないが確かな整備力とスピード豊かなコーナー戦は高く評価され、デビュー時から期待された逸材。昨年12月、地元の大村で開催したMB大賞で浜野谷憲吾、服部幸男、吉川元浩らSGレーサーを相手に逃げを決め優勝を飾った。このVで3月、尼崎で行われるSGクラシック(総理大臣杯)の出場キップを手中にした。

 当地との相性も悪くない。一昨年の周年記念で優出し【4】着、昨年も一般戦とはいえ優出【4】着。長崎のリーダーとして全国区へと羽ばたくためにも九州ダービーV2へ熱く燃える。

◇機力No.1は「18」

 現在、使用しているモーターは昨年5月17日が初下ろし、すでに8カ月が過ぎた。2連対率で50%を超えているのが「8」と「28」。この両機がこれまでエースの座を争っていたが、ここにきて異変が起きた。

 「28」が急降下。2節前のスポニチ金杯で宮崎隆太郎が苦戦を強いられ9戦、未勝利。「数字ほどの足はない。中堅あるかどうか」と、首をかしげた。さらに前節の広中良一も「30%台の数字ならこんなものと思うけど、50%ですから。いいのは乗りやすさだけ」と、きびしい表情。振り返ると賞金女王決定戦で谷川里江がリングを交換したあたりから下降気味…。

 一方の「8」は、賞金女王で海野ゆかりが好走を見せ、高い評価。意外だったのが海野のあとを引き継いだ渡辺英児が思ったほどの動きではなかったこと。「おそらく12番のボートが悪いのだと思う。少し引きずる感じがある」。正月レースの山口修路は「悪くないけど勝率ほどではない」と言いながらも最終日の連勝に納得の表情をみせた。が、前節の佐々木巌からは「体重も関係しているかもしれないけど勝率ほどのパワーは感じない」と、最後まで景気のいいコメントは聞けなかった。評価が気になる。

 どういうわけか、芦屋では“8”の付くモーターの評判がいい。18号機は正月レースで地元の川上剛が仕上げ、スポニチ金杯で原田篤志が節イチ級の動きを誇った。とくに原田は3日目に転覆、その影響が心配されたが足落ちはなく、むしろそれ以上に回り足が良くなっていた。「時間をかけてじっくり組み直した。本体がしっかりしているからだと思うけど、足落ちはしてなかった。節イチだったでしょう」(原田)。最後に「最終日に少し気になったのがリングです。もしかしたら次の人はリングを換えた方がいいかもしれない」と、アドバイス。現状の機力No.1は「18」だ。

 この他で有力機をピックアップすると「51」「27」「11」「38」「14」「21」「26」あたり。そのなかでも「51」が一気に評価を挙げた。桑原悠→松尾昂明→平山智加で3連続V。正月レースでも篠崎元志が快走をみせた強力機。前節の野末智一も「全部の足がいい」とベタ褒め、18に迫る勢いだ。

 「27」は検定タイム6秒64の1番時計をマーク、初下ろしから注目されたモーター。正月レースで今村暢孝が優勝した上り調子のエンジンだ。

 スポニチ金杯で西島義則が優勝した「26」の出足の良さ。さらに柳沢一が優勝戦?着に食い込んだ「21」の行き足も光った。

また、芦屋は淡水ということもあってボートの良否も舟足に大きく影響する。エースボートと評判になっているのが28番だ。正月レースで凡機と言われた今井貴士の65号機が上位に近い動きをみせ、スポニチ金杯でも23%の勝率しかない黒崎竜也の53号機が中堅上位の足に仕上がっていた。「28番のボートが良かった」。今井と黒崎が口をそろえた。

 この他では46、58、32、69、66、77のボートが滑りがいいと評判。

◇風向きがレースを左右

 芦屋の水面は人工湖で淡水。1マーク側の対岸に多年草の天然葦が群生しており、この葦が消波装置の役目を果たし、良水面を提供している。

 風向きもレースに影響を与える。HS追い風では逃げが幅を効かせ、向かい風になると一転してまくりやまくり差しが決まるようになる。

 ホームストレッチに対し北西の風が芦屋で一番スタートが早くなる。逆に北東の風、つまり対岸からスタンドに向かって吹く斜め向かい風が“かまし風”と言われる。

 やっかいなのが斜めの風が入り風向きが一定しないことだ。それでなくても芦屋は「スタートが早い」が通り相場。

 冬場のこの時期はほとんどがホームストレッチに対して追い風。とはいえ、今回の出場メンバーは走り慣れた地元の選手がほとんど。このあたりは先刻承知である。やはりインが幅を効かせるシリーズになりそうだ。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る