G1地区選手権

【桐生G1 第62回関東地区選手権】3地区の強豪が集結!12日開幕

[ 2017年2月11日 05:30 ]

関東地区選手権に向け健闘を誓い合った関東3支部の次世代のスターたち(左から)桐生順平、毒島誠、長田頼宗
Photo By スポニチ

 G1「第62回関東地区選手権」は12日、群馬のボートレース桐生で開幕する。かつて西高東低と呼ばれていた勢力図だが、それは過去の話。関東では各支部に全国に誇れる次世代エースが誕生している。群馬の毒島誠(33)、東京の長田頼宗(31)、埼玉の桐生順平(30)だ。この3人はすでにSG制覇も達成。関東のエースになるべく、真冬の上州で激闘を繰り広げる。

●東京支部●

 【長田頼宗】昨年果たせなかった夢に向け、長田が再スタートを切る。15年のグランプリシリーズでSG初制覇。この年は賞金ランク19位で終了した。16年に目指すのは当然、グランプリ初参戦。11月のチャレンジCまで順調に進み、目標まであと一歩。だが、準優3着で優勝争いから脱落し、2年連続のシリーズ回りになった。

 「一昨年が19位だったので、もう少しで18位に入れると思っていた。でも実際は、シリーズ戦の優勝賞金で19位に上がっただけ。チャレンジCが終わった時に、18位以内に入っている走り方を想像できていなかった」

 こう反省の弁を述べたが、多くの収穫があったのも事実だ。16年はクラシックとグラチャンに初出場。メモリアルでは2度目のSG優出を達成した。シリーズ戦の選考順位も15年の41位から、30位にアップ。「チャレンジC終了時点の賞金は着実に上がっている。これは自信になった。もう18位が見えない距離でもないし、今年こそは本気で目指す」。こう息巻くのも不思議はない。

 東京支部の選手によるグランプリ出場は、10年の浜野谷憲吾を最後に途絶えている。「東京から久々にグランプリに出る人がいるなら、それは自分でありたい。そのためには、まず関東なら常にドリーム戦に選ばれるくらいにならないといけない」と掲げた。今大会は2日目ドリーム戦に登場。このアピール機会を逃す手はない。結果を出し、関東チャンプへの道を切り開く。

 【浜野谷憲吾】“ニュー浜野谷”で11年の江戸川以来6年ぶりの関東王者だ。浜野谷憲吾(43)が昨年までとはひと味違う。

 「ストイックにいかないと」と、6号艇のときはコース取りから積極的。平和島のお正月の風物詩「第46回東京ダービー」で08年以来、実に9年ぶりの美酒に酔った。「地元で勝てて、まだ浜野谷が頑張っているところを見せられて良かった。(今年の抱負は)1カ月に1キロずつ減量。成功したらグランプリも見えてくる。今年一年、最後のつもりで一生懸命走る!」。他人に厳しく、自分にも厳しく…。1月の大村G2誕生祭でも優出4着の活躍。“東都のエース”が不退転の覚悟だ。

【その他の有力選手】前回大会準Vの斉藤仁(39)。昨年末のグランプリシリーズ(住之江)で13年チャレンジカップ(津)以来のSG優出(4着)。復活の兆しを感じさせた。「そこ(グランプリ)を目指すのは呼吸するのと同じ」と、4年ぶりのグランプリ復帰は当たり前の目標。G1初優勝(12年)のメモリアル水面から進撃開始だ。

 石渡鉄兵(42)も斉藤とともにシリーズ戦優出(6着)。勢いのまま、年明けの江戸川お正月レースで初笑いVを飾った。14年の平和島以来2回目の関東チャンプ奪取へ上げ潮だ。忘れてはならないのがSG2勝のベテラン・熊谷直樹(51)だ。G1のあっ旋は減ったが、「いつ呼ばれてもいいようにターンスピードを落とさないようにしないと」と闘志全開。不屈のまくりスタイルでオールドファンを沸かせる。

●群馬支部●

 【毒島誠】2016年度は、桐生ボートにとって開設60周年のメモリアルイヤー。昨年4月のG1ダイヤモンドカップを皮切りに、6月のG1赤城雷神杯、8月のSGメモリアルとビッグレースが立て続けに行われた。そのラストを飾るのが今回の関東地区選だ。最後の栄冠に向け、地元のスピードスター毒島が燃えている。

 「今年度は地元のSGとG1が合わせて四つもあった。そのうち一つは勝つ、というのが当初の目標。気負いはないが、序盤の三つで勝てなかったので狙っていきたい」

 地元G1へ闘志をむき出しにしたが、今年のテーマは“丁寧”だ。昨年もSG連続優出、G1徳山周年Vと目に見える結果を残した。だが、一年を通して見れば機出しに苦戦。安定感を欠き、3年間続けていたグランプリ出場を逃した。「昨年はエンジンを丁寧に見ることができず、細かい調整を怠っていた。だからエンジンの良いところを引き出すことができなかった」と自らの弱点を分析。そして17年に向け、こう誓いを立てた。

 「今年は丁寧な作業をして結果につなげる年。道中も粘り強く走って、負けないことを心掛けたい。これができれば結果はついてくると思う」

 艇界屈指と呼ばれる旋回力に機出しテクニックが加われば、成績アップは自明の理。毒島の逆襲劇は、この関東ダービーから幕を開ける。



 【山崎智也】決戦の舞台が桐生。ならば、この男を見逃すことはできない。不動の地元エース・山崎智也(42=群馬)だ。14、15年は賞金6位以内でグランプリに出場したが、昨年は8位で初めてトライアル1stから参戦。「18位以内で行ってもグランプリに出た実感がない」と振り返った。それだけに17年の目標には「賞金6位以内」を掲げる。

 今年に入ってからは3節に出場。全て準優で脱落したが、今回は地元G1だ。「優出が最低ノルマ」と自らに高いハードルを課す。桐生G1は過去に9V。当地勝率も出場メンバー中1位の8・09をマーク。地元水面では他の追随を許さない。賞金トップ6返り咲きに向け、この地元G1からトモヤが加速する。

 【その他の有力選手】昨年の賞金女王・松本晶恵(29)が地元水面で華麗に舞う。長年の努力が実り、昨年末のグランプリシリーズ(住之江)でSG初出場。強豪男子を相手に水神祭を飾った。そして迎えたクイーンズクライマックス(平和島)。(1)(2)(1)とトライアルを1位通過し、大みそかのファイナルはこん身のイン逃げを決め女子の頂点に立った。「昨年が人生のピークだったので終わらないように頑張る」。かかあ天下へ真っしぐらだ。

 智也、毒島の両エースに迫る勢いなのが久田敏之(35)。昨年はSG初出場のダービー(福岡、10月)を含めて2度の大舞台を経験し、いずれも予選通過。お正月の群馬ダービーを制し、上昇一途だ。上州の御大・江口晃生(52)健在。からつ、多摩川と早くも17年2Vと元気いっぱい。

●埼玉支部●

 【桐生順平】「連覇が狙えるのは僕だけですからね」と、胸を張るのが埼玉のエース・桐生。昨年の舞台は多摩川。4号艇で優出を決めた桐生は枠なりのカドに引きコンマ01のトップS。まくり差しのハンドルでバック突き抜け関東チャンプの称号を手に入れた。

 GP3年連続出場。埼玉から関東、そして今やボート界の頂点を争うトップレーサーの一人。「去年は予選落ちも少なく、積み重ねでGPに行けた。充実した一年でしたね」と、地に足をつけ一流の運びをマスターした。

 現在の桐生が目指しているスタイルは「巡ってきたチャンスは必ずモノにすること」だ。一見、わなを張って獲物を待つ受け身な印象を受けるが、全く違った。「自分が手を抜かなければチャンスは必ず来る。結局は一走一走なんです」。チャンスを自分でつくるといった強い意志のもと、たどり着いたレーススタイルなのだ。成長の理由がここに凝縮されているのではないだろうか。

 1月の戸田周年。コンマ05のトップSで今年早くもG1優勝。17年の記念戦線、最高の滑り出しを収めた。そして舞台は変わって自信の名字と同じ“桐生”だ。「桐生は大好きな水面。ここでペラの方向性をつかんでそれをきっかけにリズムが上がることが多いですね」。さらなる勢いをつけるためのターニングポイントになりそうだ。

 【平石和男】埼玉の大ベテランが輝きを取り戻しつつある。平石和男(50)はここ3年、何度もA1級から陥落する危機を経験。全て土壇場で踏ん張ったが、往年の強さは鳴りを潜めていた。だが、1月のG1戸田周年は予選を2位で突破。準優4着で優出は逃したものの、古豪健在をアピールした。この原動力は昨年末にある。

 「グランプリシリーズに出たことでSG戦線に戻りたくなった。厳しい道だけど夢は諦め切れない。もちろんクラシックのことも意識している」

 今年のSG開幕戦の出場権を得るには、関東地区選Vが条件。並大抵のことではない。しかし、桐生は3節前に出場したばかり。調整面のアドバンテージを生かし、ラストチャンスに懸ける。

 【その他の有力選手】埼玉支部は一昨年の須藤博倫(39)、昨年の桐生と地区連続V。今年はヤングスター・中田竜太(28)が3連覇達成の大役を狙う。事故禍に苦しんだ昨年から挽回しようと、年末のからつG1から6節連続優出と好リズム。圧巻だったのが1月の戸田周年記念準優勝戦。5カドまくりを決め、1号艇のエース44号機(佐々木康幸)を撃破したのだ。不世出の“怪物”退治をやってのけ、一皮も二皮もむけた印象。記念タイトルも目前に迫っている。

 中田の師匠である須藤も昨年はG1優勝戦フライングでシーズンを棒に振った。2年ぶり戴冠で復活を印象づける。04,05年と地区選連覇の中沢和志(40)は1月の桐生で幸先よく17年初優勝。新エンジンを経験しているのもプラス材料になるはずだ。

 【桐生の水面傾向】日本最北のボートレース場で水質は淡水。また標高が高いため体重差が出やすい条件がそろうが、冬に吹く“赤城おろし”で水面が荒れると軽量よりも波乗りのテクニックが重要視される。ピットから2マークまでが15メートル。これはからつ、下関に続く全国3番目の長さ。ピット離れの仕上がりだけではなく、一瞬のタイミングの差でコースが入れ替わることがあるので要注意。最近1年間のイン1着率は48・5%。かつてはダッシュ戦が有利だったが、現在はイン主体となっている。

続きを表示

バックナンバー

もっと見る