G1周年記念競走展望

【G1下関競帝王決定戦】“次世代を背負う男”谷村一哉、静かな闘志

[ 2014年2月25日 05:30 ]

11月に下関で開催されるチャレンジカップ出場が第一目標という谷村一哉
Photo By スポニチ

 ボートレース下関「開設59周年記念・G1競帝王決定戦」は26日に初日をオープンする。決戦の日、優勝戦は3日だ。直前の中国地区選手権を制した白井英治に九州地区選を制した瓜生正義の対決が注目のひとつ。昨年の賞金王である池田浩二は東海地区選で今期2本目のFを切っているのが不安材料だ。中国地区選では準優で敗退した地元の谷村一哉は今年11月に下関で開催となるチャレンジカップの出場に向け静かに燃えている。次代の下関を背負って立つ谷村。一歩一歩と記念を制する力も備えて来た。

 野球の解説者なら「いやあ、打ちも打ったり、取るも取ったりですね」こう言って、ひとつため息をついていたことだろう。巧く打ったのだけど、相手のファインプレーに阻まれた。そんな場面だった。先の中国地区選での準優戦である。谷村一哉は3コースからコンマ04のスリットで2コースを抑えイン茅原悠紀の内懐を果敢に狙った。しかし節一パワーを誇る茅原もまた絶妙なターンを見せた。グルッとフネをバックストレッチに抜け谷村の差しを完封したのである。「仕方ないですね。茅原クンが出てましたからね」出来ることはすべてやった。そんな満足感に包まれた谷村の敗戦だった。谷村は今年の初戦を徳山で迎えた。13戦して10勝。優勝戦も横綱相撲の逃げ勝利だった。このシリーズ、何としても優勝したいと言う志も胸の内を支配していた。優勝を飾った翌日、つまり1月6日に2人目の子供が誕生したのだ。「ホッとしました。名前?日菜子(ひなこ)と言うんですよ」次女誕生に大きなプレゼントを贈った格好。この時ばかりは相好も崩れた。正月レースの後には常滑でも優勝と追い風が吹き続く。今年の抱負を問う。11月には下関でチャレンジカップも開催される。「もちろん出場するのが第一目標ですよ。地元開催だし全力で」表情もキリリと一変する。そして課題も口にする。「昨年は徳山の周年で準優の1号艇。そこで失敗したし反省点もあります。今度の新ペラは今までより小ぶりだけど皆、すぐに対応してくると思うし自分もモーターの特長によって巧く合わせないと」。 SG初出場は11年の住之江賞金王シリーズ。4日目にSG初勝利を挙げその勢いで準優にもコマを進めている。実りの秋。下関のチャレンジカップへ歩を進めるべく勝ちこだわる谷村。周年記念も大きな期待が持てそうだ。

◇菊地、安定感増した

 菊地といえば誰もが認めるS巧者。動体視力がズバ抜けているのだろう。“天才スターター”だ。その菊地も一時の爆発力が影を潜めている。ペラ制度が変わって迷いもあったという。だが、今は落ち着きを取り戻してきた。安定感が増してきたのだ。「安定勘を重視して1年間レースしたい」という菊地。今年の目標は当然、グランプリ出場だ。グランプリは10年以来遠ざかっている。そしてG1も10年の児島周年V以来していないのだ。G1Vイコールグランプリにつながる。

◇白井、歯車ガッチリ

 今年の白井は順風満帆の船出。正月シリーズの下関を制し福岡一般戦V。そして前回の下関中国地区ダービーを2連対キープでのV。初日の5、6枠での連勝が中国ダービー2Vに結びつけたと言っていいだろう。新エンジンをうまく出し切ったのも大きい。 シリーズを振り返ってもピリピリしたところがまったくなかったし、足落ちしたときも余裕がうかがえた。人間的に大きく成長か。SGに1番近い男を言われ続け時が経つが、今年の白井には期待が持てる。 下関周年はまだ未完だが、過去は53周年【2】、56周年【2】、57周年【3】と優勝戦に乗ればファンには貢献できている。昨年の58周年では準優で敗退したが、今の白井なら心配はいらないだろう。歯車はガッチリかみ合っている。今回は1、2回使用したエンジンだが、パワーを引き出してくるはず。G1連続V、そして周年初戴冠だ。

◇瓜生、自然体で挑む

 今年の滑り出しは若松の正月シリーズ。優勝には一歩届かず準優勝。そして唐津周年では準優で敗退。住之江周年でも準優で勝ち上がれなかった。どちらかと言うとスロースターターだが、芦屋の九州地区ダービーでは格の違いを見せつけた。8戦6勝2連対確保での圧勝Vだった。下関周年はまだ制していないが、過去を振り返れば50周年【2】、53周年【4】、57周年【2】で優出を果たしているし、相性は悪くない。「自分はどこの場でもあまり苦手意識はないんですよ。戸田が少し苦手だけど、下関は悪いエンジンでも優勝してるし好きなプール」と瓜生が言う。 デビューからまったく変わらない。勝っても負けても自然体なのだ。本当はオート選手になりたかった瓜生。2年先の試験を待てずボートの世界へ。ブラックダイヤモンド(筑豊)が今は鮮やかな光を放っている。昨年は徳山周年を初制覇。今回は下関をいただきだ。

◇2日目ドリーム展望

 中国ダービー同様、初日、2日目の12RでWドリーム戦が行われる。撰ばれし12戦士。初日は今村だ。中国ダービーでは肝心の準優で敗退してしまったが、S勘も徐々に修正してきている。今回は今村らしさを見せつけるだろう。 今期初っぱなにFを切った池田が直前の常滑地区ダービー3日目にまたも痛恨のF。重い足カセを背負ってしまった。Sは行けぬ身。あとはテクで勝負。外隣の浜野谷に展開も向きそうだ。カドを生かしたい魚谷。中島が魚谷を引き出すか。好配トライは峰だ。 2日目のDRは瓜生が速攻に持ち込んでくるだろう。勢いづくのが白井。周年初制覇へ向け1走入魂。差してバック勝負に持ち込む。卓越したコーナーハンドルは太田。瓜生、白井に割って入る。一撃あるのがカドから攻める井口。寺田に展開も向きそうだ。SGの仲間入りを果たした森高の今年の目標はグランプリ出場。絡んで好配を提供か。ドリーム外で戦線をにぎわすのはやはり若手勢。谷村、大峯の地元勢。中国ダービーに続き発奮は広島の山口。天才肌のコーナー戦は福岡の岡崎。愛知の平本に佐賀の山田も爆発力を秘めている。

◇モーター診断

 昨年と同じく2月から新モーターと変わった。今回の周年記念が下ろしたて3節目となる。1度しか使われていないモーターと地区選から2節使用したモーターが混在する。地区選で白井英治が仕上げ優勝した62号機に優勝戦で5着だった前本泰和の50号機がいい動きを見せていた。それ以上の評価は優勝戦2着だった茅原悠紀の55号機。前検からの手応えに「これは本体がいい」と絶賛。2日目には1分44秒1と新ペラ制度導入後のコースレコードをマークした。地区選で優出モーター以外にも好調機が見られた。荒井輝年の36号、山本修一の44号、吉村正明の21号、前野竜一の11号だ。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る