G1周年記念競走展望

【G1住之江太閤賞競走】大阪冬の岡村“仁”

[ 2014年1月27日 05:30 ]

岡村仁が地元G1を勝って飛躍するか
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 メッカの覇権を握るのは誰か?ボートレース住之江開設57周年記念「G1太閤賞競走」は28日から6日間の日程で行われる。V戦線を引っ張るのは10人の地元勢。とりわけ今年の飛躍が期待される岡村仁に注目したい。大坂冬の“仁”ということで、地元G1で暴れてもらおう。もちろん、ボートレース以外にも魅力に詰まっている。さあ、みんなで旅打ち敢行だ!

 昨年は大きく飛躍できた。江戸川でG1を初制覇。その“お土産”としてチャレンジカップ、賞金王シリーズと初めてのSG舞台も体験した。迎える2014年。今年は昨年の飛躍をムダにできない年となる。言い換えれば、SG戦線に定着が求められる年だ。そのためには今年1発目のG1となる太閤賞では何としても結果を残したい。

「早いうちから結果を出して年末にはいい順位でSGに来れるようにしたいですね。その第1弾だと思ってます。オーシャンカップの勝負駆けでもあるので頑張ります」

 昨年に出場した2回のSGは岡村にとって貴重な財産となった。やはりG1とはひと味違った舞台。SGへの思い、そしてSGの感想を岡村に質問すると雄弁になる。

 「SGだから特にどうこうというのはなかったですね。すごい方ばかりですけど、元々、大阪にはすごい先輩方がいますからね。一緒に出させてもらって心強いです」

 まずはSGの感想を振り返ってもらった。大阪支部でもまれた経験が少なからず生きたようだ。さらに雄弁は続く。

 「賞金王シリーズでは準優に乗せてもらったけど、1走の大事さを思い知らされました。予選の最後に1走を取りこぼしたんですが、準優の枠番が4つも変わるとは…」

 次は体験談だ。賞金王シリーズは準優好枠ペースだった。それが予選ラストに大敗。準優は6号艇になってしまった。普段通りに挑めたけど、厳しさも体験。それによってワンランク上のステージへと進めたことか。

 「ボクは縮んだ分だけ伸びるバネのようなタイプだと思ってます。いい経験だけで終わらせたくないですね。結果をしっかりと出したいです」

 賞金王シリーズの予選ラストでバネは少し縮んだ。その分はどこで伸ばそうか。勝負の2014年。まずは地元G1で目いっぱいに縮んだバネを伸ばしてもらおう。今の岡村ならきっとできる。

◇松井ら地元勢がやっぱり優位

 住之江は調整が難しいとよく言われる。遠征陣は特に四苦八苦。これだけとって見ても、走り慣れた地元勢が優位に戦える面は大きい。実際に3年連続して地元勢から優勝者が出ている。今年も賞金王決定戦、正月シリーズと直前に2節を“試走済み”。なお一層、有利さが浮き彫りになる。

 中でも松井、太田、田中、湯川のドリームにシードされた4人が中心だろう。この4人に関しては今さら多くを語るまでもない。あとはエンジンの“引き”が重要か。正月レースでは田中が超平凡機でかなり苦労したからだ。さらに正月シリーズを制した石野、昨年の覇者である丸岡もV戦線を賑わせてくる。野添、吉永、岡村、西村はまず好エンジンを引きたい。

 遠征陣ではまず瓜生の名前を挙げなければならない。賞金王決定戦は不完全燃焼。複勝率トップの80号機が相棒だったがやや下降線のエンジンだった感も否めない。スカッとリベンジできるか。昨年の賞金王ファイナルで、進入のキーマンとなった田村もおもしろい。すべてがアグレッシブな男。注目だ。さらにドリーム組からは吉川、峰の住之江好相性組にベスト6の期待をかけたい。

 ビッグネームはまだまだいる。それが今垣であり、山口。昨年の今垣は事故を連発した一昨年の影響をまともに受けた。今年は再浮上を誓う年。大好きな住之江で反撃のノロシを上げる。山口はとにかく絶好調。賞金王シリーズでもしっかり優勝戦に駒を進めた。住之江相性も申し分ない。?

◇インの強さは全国屈指

 全国的に見てもインが強い水面だ。昨年のイン1着率が53・3%。全国4位の高さである。これといったシード番組はないのに…(一般戦はむしろ混戦番組の傾向)。特に冬場はインが絶対的。G1ならばその傾向は強くなる。裏を返せば、ダッシュから捲るレースもごくまれ。それは賞金王決定戦及びシリーズでもそうだった。

 水面特長と言えば、淡水で水質が硬いため、乗り心地が有無が大きなポイントになる。乗り心地がいいというコメントが出た選手は買い。そして1周2Mの乗りこなし方もポイントの一つだ。展示の引き波が残るため特に乗りにくい。初日や2日目は誰が1周2Mを巧く乗りこなせているかをチェックしてみるのもおもしろい。そういう意味でも、地元勢はやはり優位になってくるわけだ。

◇12機以外のお宝エンジン、横綱3号機に続け!

 この時期の住之江は賞金王に出た12基の行方に注目が集まる。特に“1億円エンジン”の3号機は圧倒的横綱。これをゲットすれば、伏兵クラスでも優勝の可能性が出てくる。ただ12基以外にも“お宝エンジン”はあった。ここでは近況の充実度なら、3号機に次ぐとの評価もある4基のエンジンを紹介しよう。これらを手にした選手は間違いなく“買い”でっせ!

◇68号機、複勝率では測れぬ良機

 複勝率は20%前後をうろちょろしている。ただこの数字を鵜呑みにしてはいけない。複勝率を2倍したぐらいが今の評価と言える。12月のGSS競走で新田智彰が太鼓判を押していた。「王将戦もこのエンジンでいいです」。当時は複勝率20%に満たなかったのに…。

 その言葉の真の意味が賞金王シリーズで証明される。三井所尊春が強烈な伸び、行きっぷりを披露していたのだ。成績は悪かったのはレースリズムが悪かったため。見た目の足はトップクラスだった。年末戦の平岡重典も強力足。とにかくグイグイ伸びていた。横綱の3号機を操っていた松元弥佑紀ともそん色ない伸びだった。王将戦では岩川仁士が着順以上の足。伸び中心に仕上がっている傾向がある。数字は低いが、太閤賞には何とかエントリーしてほしい。

◇64号機、出足が仕上がる実戦派

 10月、11月の声を聞いても目立った動きを見せていなかった。それが11月末に久富政弘が乗って気配一変。シリーズ終盤に抜群出足を完成させたのだ。本紙担当の柳川記者も紙面において最終的には◎の評価を付けた。

その後はまさに破竹の勢いと言えよう。次の節では高橋勲がこれまた抜群の出足を完成させた。そして賞金王シリーズが圧巻。徳増秀樹を準優勝に導いたわけだ。コメントは辛口傾向の彼をして前検日から好手応えを口にしていたほどだ。

 もっとも気配がすごかったのが年末の原由樹夫かもしれない。出足に加えて伸びもトップ級になっていた。王将戦の小島幸弘も出足、行き足が抜群。深くても難なく持ちこたえていたシーンが印象深い。このエンジンを手にすれば、積極的な進入で結果を出せそうだ。

◇36号機、GSSで佐野隆が鬼足

 気温が下がりだしてから頭角を表した最たるエンジンがこの36号機だ。10月末のスポニチ杯では伯母芳恒が優出。これはまだ序の口に過ぎない。11月の女子リーグで相棒だった樋口由加里によって、本格化の兆しを見せ始めた。実に力強い回り足。津田富士男評論家のエンジン評価でも常に上位にランクされていた。

 そして極めつけが12月のGSS競走だ。佐野隆仁が圧倒的な節イチパワーを披露した。回ってから出て行くわ、すたして伸びるわ…。整備士さんも太鼓判を力強く押していた。続く賞金王シリーズでも吉田拡郎が猛烈ハイパワー。最終日に6コースから見る見る伸びて1着に届かせたシーンでは、36号機の持つ威力のほどを再確認した。ちなみに王将戦では新出浩司が好気配。間違いなく現状でもベスト10に入る。

◇20号機、近況の充実度ピカイチ

 もし賞金王シリーズに登場していれば、かなり威力を発揮していたかもしれない。それほど充実度は目を見張る。高松宮記念で丸岡正典が乗ってから“本気モード”になってきた。その次の節では竹村明が抜群足。その勢いを賞金王の直前節で爆発させた。地元の向達哉が優勝。1号艇に高橋勲、2号艇に原田幸哉という強豪を捲って仕留めたのだから価値がある。

 年末戦でも深井利寿が上々の動きを披露していた。そして王将戦では超伏兵の新井英孝がパートナー。これは値打ち大。「どの足も抜群ですよ」と本人が言い切るパワーで、高配当に幾度となく貢献した。太閤賞でも超注目の逸品である。

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