G1周年記念競走展望

【宮島チャンピオンC】市川、地元周年V狙うけん!

[ 2013年11月8日 06:00 ]

5年ぶりの地元開催Vが期待される市川哲也
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 きょう優勝戦のG1まるがめダイヤモンドカップが終わると、泣いても笑っても残すはG1宮島周年とSG津チャレンジカップだけ。賞金王決定戦(住之江)の12人が出揃う日が近づいている。あす9日に開幕するボートレース宮島の開設59周年記念「G1宮島チャンピオンカップ」は賞金王メンバー入り当確なのは、賞金ランクのトップを突っ走る瓜生正義とディフェンディングチャンピオンの松井繁だけ。この2人は初日、2日目に組まれたドリーム戦の1号艇にシードされている。両雄を破って賞金王へ前進するのは果たして…。あるいはチャレンジカップ出場を逃した面々の逆襲は? 新しい期を迎え、決意を新たに5年ぶりの地元周年Vを狙う市川哲也をメーンに“宮島周年”を特集した。

 SGを4回制し、その中には賞金王もあればMB記念の完全Vもある。G1も新鋭王座を皮切りにV18。ボートレーサーの夢のほとんどを実現した市川も45歳になった。若手の台頭が目覚ましい世界だけに目標設定が難しいところだが「結果が欲しいです。数字(勝率)以上に結果ですね。このところ(結果が)出てないんで」と言い、目を輝かせる。

 当然ながら今年の成績には納得していない。11月を迎えた時点での2013年を「正月(の宮島2日目)にフライングを切って、また期始め(5月末の住之江企業杯最終日)に切って我慢、我慢の1年でした。90走(Aの1出走回数ノルマ)があるので、とくにスタートは我慢しましたね。コンマ0台に入っている自信があっても放ってましたから…」と振り返る。

 そういえば、今年はSGの出場がない。毎年のようにSGレースを走ってきた市川だから意外だ。それどころかG1の優出もゼロ。直前の福岡を含み8節しか走っていないのも今までの市川では考えられない。「結果が欲しい」というのは心の叫びなのだ。

 いま、新期を迎え、心機一転で地元周年を迎える。今年の宮島はSGの開催がなく、唯一のG1レースだ。初日のドリーム戦に選ばれ「期待に応えたいですね」と、5年ぶりの地元周年Vへ気合が入る。

 一昨年の賞金王開催中に持ちペラ制の廃止と新しい形の“オーナーペラ”制度導入(翌年5月から実施)が発表され、誰が有利か…という話になった時に真っ先に名前が挙がった一人が市川だった。機力差がなくなればエンジン出しで劣勢だった市川のスタート力が生きる。誰もが思ったはずだ。しかし、市川は「そうですね。頑張ります」と口では言いながら胸の内では“そんなに甘くない”と思っていた。

「持ちペラ制になる前のオーナーペラはエンジンと全く合ってなかったからスタートダッシュで有利になったけど、今のペラは大きくなって完成形みたいですからね。スタートだけでは勝負にならないと思ってました」

 新しいペラ制度になって1期目が6・76で2期目が6・95、3期目の前期も6・95と、対応できていないことが数字に表れている。それでも、市川は下を向くことなく、むしろ手応えを感じている。

「この1年半、いろんなペラの形を見てきて吸収するものがあったし、かなり勉強になりましたね。持ちペラ時代は他の人にペラを見せてもらったりしなかったんで、余計にそう思います」

 新しいペラ制度になって初のG1優勝へ向けて手応えを感じつつある。あとは時期的に気温が上がったり下がったりすることが多い中でのペラ調整力だろう。「やっぱりノウハウを持ってる人が強いです。ボクに問われるのはソコでしょうね」と市川自身も課題に挙げている。

 それでも、1カ月前に宮島を走ったアドバンテージは大きい。準優1号艇で3着に終わったことはともかく、ペラをしっかり出足型に仕上げたという収穫は何より。次の節に走った師匠の田中寛が「市川のペラゲージを参考にペラを叩いて出足は良かったですよ」と言うぐらい“いいゲージ”なのだ。

「田中さんに認められて嬉しいけど、あれは北川(幸典)さんのゲージですからね」という“裏話”もあるが、その北川が今回周年で一緒なのは心強い。頼もしい先輩のアドバイスで市川の“戦力”がアップするのは間違いない。

 若手の台頭スピードが早い時代では“衰え”を感じはじめてもおかしくない年齢(45歳)になった心境を最後に聞いた。

「どっちかと言うと、ボクは(とくにペラ調整を含むエンジン整備で)遅れてるでしょう。だから、まだ成長段階にあると思います」

 容姿もレースも気持ちもまだまだ若い!!

◇海野、賞金女王へエンジン全開

 G1周年に設けられた女子レーサー枠は「3」。今回は地元の海野ゆかり、G1周年2度目の長嶋万記、初出場の金田幸子が呼ばれた。長嶋は9月の多摩川周年で6436転6654と惨敗。一方、今夏の女王・金田は地区選の出場もない。長嶋の例を持ち出すまでもなく男子のG1メンバーの壁は厚いだろう。

 対して、海野はSG舞台を5回経験している。そして、準優進出こそないが、5節全部で節間1勝以上しているのだ。しかも笹川賞で組まれたオール女子戦での1勝以外は全て男子の強豪が相手。3コースで3勝、4コースで2勝。内に瓜生正義がいるレースで2勝している。

「持ちペラの時でしょ?」と素っ気ないが、今年の笹川賞(福岡)でマークした1勝は鮮やかだった。インから石野貴之、瓜生正義、海野、新田雄史、日高逸子、桐生順平のレースで捲り差して抜け出したのだ。

 今年、そういうレースをしているのだから強力エンジンを手にしたら節に1勝が2勝、3勝に増える可能性は十分ある。周年のあっせんが入った時に「前のエンジンなら(宮島を)いっぱい走らせてもらったので心配しないけど…」と言っていた。その不安は一般戦だったが、先月の地元戦で男性陣を相手に優出(4着)したことで「いまのエンジンで1節走れたので良かった」と、ひと安心していた。

大目標の賞金女王決定戦は10月末時点の賞金ランク(女子)7位でほぼ当確。「賞金女王にはリズムアップして行きたいですね」と照準ピタリだ。そんな大事な時に強力な男性陣と走る周年の配分は“ノーサンキュー”では…と勝手に想像したが、海野は「仕事ですから」とニッコリした後、こう続けた。

 「1年間全部、記念を走れと言われたら厳しいでしょう。いまは、とにかくエンジン次第」

 素性のいいエンジンを引き当てることが今回周年の最初の大きなミッションだ。

◇篠崎仁志“逆転”ある!

 直前の福岡周年Vの篠崎仁志が賞金ランク14位に躍進。G1優勝戦の賞金は6着でも160万円。この宮島での“逆転”も十分だ。また、福岡周年2着でランクを2つ上げた湯川浩司は目安の7000万円へあと930万円。ここで優勝なら一発で当確。6号艇の初日ドリームがカギになる!?

 賞金王出場争いのボーダー上にいる中島孝平、田中信一郎。優位に立って次のチャレンジカップを迎えるためにも最低でも優出がノルマか。

 初日、2日目の12Rで行われるドリーム戦の1号艇には瓜生正義と松井繁がシードされた。瓜生は賞金トップ。松井は宮島周年のディフェンディングチャンピオンだ。

 9月の岩田杯Vで宮島との好相性を証明した浜野谷憲吾、宮島周年2連覇の実績を持つ吉川元浩、そして地元からは市川哲也と辻栄蔵がドリーム戦に名を列ねている。

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