藤井正弘の血統トピック

「ライト兄弟」に宿る母の父エルコンの砂適性

[ 2016年6月29日 05:30 ]

 芝部門の宝塚記念に続き、ダート部門の上半期を締めくくる大一番、第39回帝王賞が29日に大井競馬場で行われる。2000メートル級の古馬最強クラスが一堂に会した豪華メンバーだが、特に血統的なシンクロニシティーという観点からチェックしておきたいのがクリソライト。宝塚記念激走の残像も鮮やかなマリアライトの1歳違いの半兄である。

 クリソライトは3年前に同じ大井2000メートルのジャパンダートダービーを7馬身差で圧勝した。以来、G1勝ちから遠ざかっているものの、昨年の帝王賞ではホッコータルマエに最後まで食い下がって2着入線している。6歳を迎えた今年もダイオライト記念で連覇を達成するなど能力に衰えはない。“中2日”での兄妹G1制覇のチャンスも十分にあるだろう。

 他にも昨年の神戸新聞杯勝ち馬リアファルを産んでいる母のクリソプレーズは、06年のジャパンCダート優勝馬アロンダイトの全姉。その父エルコンドルパサーは、ダート変更でグレード外重賞となった98年の共同通信杯4歳Sを含め、ダートでも3戦全勝、着差の合計18馬身という無双クラスの強さを誇った。思えば、前記マリアライトが道悪のせめぎ合いで発揮したディープインパクト産駒らしからぬ粘着力もまた、「母の父エルコンドルパサー」の隠れたダート適性の発露だったということかもしれない。 (サラブレッド血統センター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る