藤井正弘の血統トピック

得意の左回りで本領発揮

[ 2016年5月5日 05:30 ]

 マイルでは東京コースの新馬、同じ左回りの新潟2歳Sと2戦2勝のロードクエストが“本領”に戻ってきた。

 ホープフルS2着、スプリングS3着、そして皐月賞8着という戦歴は並の馬なら悪くないのだが、大楽勝の新潟2歳Sで刷り込まれた大物感が走るたびに薄れてきたのは事実。ただしこの馬、血統的にはどう解釈しても2歳完結型ではない。

 父のマツリダゴッホはサンデーサイレンス産駒のラストクロップにして最後のG1(07年有馬記念)ウイナー。この父はオールカマー3連覇に象徴される中山コースの鬼でもあった。母のマツリダワルツは岩手のオークスに該当するひまわり賞の勝ち馬で、ダイヤモンドC2着、ダービーグランプリ4着など、混合重賞でも善戦した。母の父チーフベアハート、祖母の父リアルシャダイ、3代母の父ノーザンテーストと、母系に蓄積された“春天サイヤー”の血脈もおよそ早熟のイメージとはかけ離れたものだ。

 皐月賞戦線での伸び悩みの原因は、普通に考えれば距離ということになるが、どうも中山コースの3戦は走りが窮屈に感じられた。現実にマツリダゴッホ産駒の芝コースの累計勝ち鞍は、中山4勝に対して東京8勝。種牡馬としての父はむしろ、現役時に未勝利だった東京向きという見方もできる。距離短縮ではなく、コース替わりで本領発揮の可能性大と思う。 (サラブレッド血統センター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る