藤井正弘の血統トピック

“砂で本領”万能型ダービー馬の種

[ 2016年3月2日 05:30 ]

 イタリアのG1ジョッキー、フェデリコ・ボッサ騎手とJRA新人女性ジョッキー、藤田菜七子騎手の参戦で話題豊富な今開催の川崎競馬。2日には伝統のダートグレード競走、第62回エンプレス杯が行われる。連覇を狙うアムールブリエで断然のムードだが、血統面から注目しておきたいのがディープスカイ産駒のタマノブリュネットだ。

 タマノブリュネットの父ディープスカイは08年の日本ダービー馬。他にNHKマイルC、神戸新聞杯、毎日杯を制し、ジャパンC、安田記念で2着に入るなど、距離不問で重賞10戦全て3着以内という極めて高い安定性を発揮した。09年に急逝したアグネスタキオン後継のエースとして衆目一致の存在だったのだが、13年デビューの初年度産駒が全くの不振で、翌14年の種付け頭数は前年の127頭から32頭に激減。さらに昨年はわずか8頭までに落ち込んでいた。先例のない“大暴落”は、期待の大きさの裏返しだったともいえる。

 それでも第3世代となる現3歳からは、全日本2歳優駿と兵庫ジュニアグランプリに勝ったサウンドスカイが現れた。ちなみに同馬は「3代父サンデーサイレンス」初のG1ウイナーでもある。先週小倉のくすのき賞を快勝したキョウエイギアもこの父の産駒。万能型ダービー馬の種牡馬としての本領は、現役時代に一度も走らなかったダート部門にあったということなのだろう。今年の種付け頭数は恐らく、V字回復に近い線まで行くはずである。

(サラブレッド血統センター)

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