藤井正弘の血統トピック

スピネルVSリオン 05年樫1、2着馬の“再戦”

[ 2015年12月16日 05:30 ]

 今年の朝日杯フューチュリティSは05年オークスの血統的な“リターンマッチ”という側面からも注目を集めている。優勝馬のシーザリオと2着馬のエアメサイアが、それぞれの産駒を有力馬として送り込んできたからだ。

 新馬、デイリー杯2歳Sを破格の内容で連勝したエアスピネルはエアメサイアの第4子。最終的にノーザンテースト産駒で最も遅く生まれた(95年生)JRA平地重賞(クイーンS)勝ち馬となった祖母エアデジャヴーは98年のオークス2着馬で、2代続きのオークス惜敗牝系ということにもなる。

 8年越しのリベンジ寸前だったエアメサイアを前記オークスで神業的な追い込みで仕留めたのがシーザリオ。2000メートルのデビュー戦を快勝したリオンディーズは、この母の第6子で、菊花賞とジャパンCを制したエピファネイア(父シンボリクリスエス)の3歳違いの半弟である。

 現役時のライバル関係が産駒に引き継がれるパターンは、種牡馬においてはさほど珍しくないのだが、クラシックで覇を競った牝馬が「母」として再びG1で相まみえるというのは想像以上に難度が高い。ちなみにグレード制導入の84年以降、同一年のオークス1、2着馬がそろってグレードウイナーの母となったのは、シーザリオとエアメサイアが初めてのケースである。付け加えれば、同タイムの接戦を演じた両馬から0秒1差3着だったディアデラノビアもまた、現2歳の第5子ドレッドノータスがデビュー2連勝で京都2歳Sを制している。レース史に残る激戦そのままに、05年のオークス上位馬は繁殖能力も空前のハイレベルできっ抗していたということなのだろう。

 エアスピネルもリオンディーズも父は同じキングカメハメハ。今年の2冠馬ドゥラメンテで初めて牡馬クラシックの壁を破ったこの父は、13年に体調不良のため種付けを一時中止しており、現1歳の血統登録産駒は50頭と激減している。血統登録産駒182頭を数える現2歳は恐らく、量的な面でディープインパクトに対抗できる最後の世代。近未来の後継種牡馬となり得る大物出現の可能性大だ。 (サラブレッド血統センター)

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