藤井正弘の血統トピック

旬短いディープ産駒牡馬 新顔アラジンとスターダムが好走!?

[ 2015年11月18日 05:30 ]

 種牡馬ディープインパクトは昨年、マイルチャンピオンシップでは06年のサンデーサイレンス以来となるワンツーを決めた。00年代に長期政権を築き上げたサンデーサイレンス亡き後のこのレースの血統的な“無政府状態”を終結させたといえるのだが、このまま安定政権を確立できるかどうかは今年が正念場だろう。

 サンデーサイレンス産駒がマイルチャンピオンシップを5連覇したのは03年から07年。04年から06年は3年連続のワンツーだった。つまりこの5年間で累計8連対を記録したのだが、実際に稼働したのは2勝(06、07年)2着1回(05年)のダイワメジャー、同じく2勝(03、04年)のデュランダル、1勝(05年)のハットトリック、2着2回(04、06年)のダンスインザムードの4頭。独裁政権の背景に産駒のリピート力の高さがあったというわけだ。

 一方でディープインパクトの場合、今のところ牡馬は二番が利かない面がある。先週の当欄でも触れたように、産駒でG1連覇を記録したのはいずれも牝馬。同一G1連覇に限らず、牡馬ではJRA・G1を2勝した馬もいない。マイル部門に関しては産駒の層が厚過ぎることから、その中から突出するのが難しく、結果としてG1タイトルが分散しているという見方もできるのだが、総じてトップクラスの旬の時期が短いのも事実。ちなみに現3歳まで8頭の牡馬G1ウイナーのうち、G1で複数回連対したのはトーセンラー(13年マイルチャンピオンシップ優勝、同天皇賞・春2着)とリアルインパクト(11年安田記念優勝、10年朝日杯FS2着)のみ。残る6頭はG1勝ちが最初で最後のG1連対にもなっているのである。

 ディープインパクトの牡馬のG1好走が“一期一会”と仮定すれば、古馬G1を牛耳るには今後も絶えず新戦力の補充が必要になる。今回の新顔はサトノアラジンとトーセンスターダム。どちらも昨年は菊花賞に出走していた馬で、マイルG1挑戦は初めてとなる。特にサトノアラジンは、母の父に父系祖父として10年エーシンフォワード、11年エイシンアポロンで2連勝したストームキャットを持つ。エリザベス女王杯で人気に反した全姉ラキシスのリベンジを見込んでおきたい。 (サラブレッド血統センター)

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