藤井正弘の血統トピック

女は黙ってディープ産駒 連覇狙うラキシス筆頭、強力4頭出し

[ 2015年11月11日 05:30 ]

 現在、JRAで行われている牝馬G1は桜花賞、オークス、秋華賞、阪神ジュベナイルフィリーズ、ヴィクトリアマイル、そしてエリザベス女王杯の6レース。種牡馬ディープインパクトは昨年、産駒デビュー5年目にして早々とこの6レースを完全制覇してしまった。“桜花賞5連覇”を逃した今年も、そのお返しとばかりにミッキークイーンがオークスと秋華賞を制している。今さら強調するまでもないことだが、特に牝馬G1では最強サイヤーの圧倒的な支配力を信頼するのが得策といえる。

 史上4頭目の連覇に挑むラキシスは、一昨年も2着入線しており、3年連続の出走となる。03、04年連覇のアドマイヤグルーヴも05年優勝、06年2着のスイープトウショウも3年目は3着止まりだったので、史上初の3年連続連対が懸かった一戦でもある。牡馬G1級は総じてピークの持続力に欠ける傾向のディープインパクト産駒だが、牝馬の場合はジャパンC連覇のジェンティルドンナ、ヴィクトリアマイル連覇のヴィルシーナがG1リピートに成功している。「母の父ストームキャット」の代表作といえば、スプリンターズS&香港スプリントのダブル連覇を果たした短距離王ロードカナロア。15年前のエリザベス女王杯で有終の美を飾ったファレノプシスも母の父ストームキャットだった。血統的には“金属疲労”を懸念する必要はないだろう。

 同じく5歳のスマートレイアーはリファール4×4×5の近交が心強い。前記ジェンティルドンナも内蔵していたリファールのインブリードは、アンチエイジングにも効果的に作用する。府中牝馬S2着からの臨戦は10着に終わった昨年と同様だが、あらためて注目してみる手はある。

 4歳マリアライトはジャパンダートダービー勝ちのクリソライトの半妹。「G1馬の妹」は世代限定戦時代のエリザベス女王杯の大穴パターンだった。神戸新聞杯を逃げ切った半弟リアファルは菊花賞でも3着に健闘。この手の良血は、より強い相手と戦うことで潜在能力が引き出される。

 タッチングスピーチは母のリッスンが英G1フィリーズマイル勝ち馬。こちらも秋の牝馬G1に強い明快な良血だ。母系に重ねられた欧州血脈からは距離延長はもちろん、馬場悪化への耐性も感じられる。反攻の目は十分だ。 (サラブレッド血統センター)

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