藤井正弘の血統トピック

“不毛地帯”に花咲かせたサムソンのポテンシャル

[ 2015年11月4日 05:30 ]

 先週土曜のアルテミスSは、早めに抜け出した1番人気メジャーエンブレムを12番人気デンコウアンジュが大外一気に差し切った。単勝8280円、馬単2万8670円の大荒れとなったこのレース、実は血統的にも相当な“大波乱”だった。

 デンコウアンジュの父は06年の2冠馬メイショウサムソン。他に春秋の天皇賞を制した00年代屈指の強豪だが、種牡馬としてはこれまで少々影が薄く、通算197頭のJRA出走産駒の重賞レースにおける最高着順は13年エリザベス女王杯のトーセンアルニカの4着だった。4世代目にして誕生した待望のグレードウイナーは、初めて重賞レースで馬券の対象となった馬でもあったのである。

 デンコウアンジュは母の父マリエンバードにとっても初めての重賞勝ち馬となる。02年の凱旋門賞馬であるこの母の父は、父としても6年間の種牡馬生活でグレード勝ち馬を出すことができず母国アイルランドに戻った。ちなみにデンコウアンジュの牝系は祖母メイショウユリヒメ、3代母トウホーダイヤ、4代母ハードミドリ、5代母第参ヒガシヒメの代までさかのぼっても中央重賞勝ち馬が出ていない。この“不毛地帯”に花を咲かせた種牡馬メイショウサムソンのポテンシャルは、再評価されていいだろう。

 メイショウサムソンは昨年から浦河のイーストスタッドで供用されている。社台SS時代の13年に32頭までに落ち込んだ種付け頭数は43頭→59頭と回復基調。孝行娘の出現で来季はさらに需要が高まりそうだ。 (サラブレッド血統センター)

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