藤井正弘の血統トピック

ハービンジャー産駒は当代“最強”ステイヤー

[ 2015年10月21日 05:30 ]

 秋華賞は最多5頭出しだったディープインパクト産駒(ミッキークイーン)が勝ち、それに次ぐ4頭出しのマンハッタンカフェ産駒(クイーンズリング)が2着、3頭出しのキングカメハメハ産駒(マキシマムドパリ)が3着を占めた。単純に父馬別の出走頭数に着目すれば、またまた最多3頭出しのディープインパクト産駒、ということになるのだが、今週はもう1頭、同じく3頭出しの種牡馬がいる。スティーグリッツ、ベルーフ、マッサビエルの父ハービンジャーだ。

 競走馬としてのハービンジャーはクラシックに縁がなく、4歳時に本格化して“キングジョージ”をレース史上最大着差で圧勝した晩成型だった。それだけに昨年の2歳戦で勝ち馬を連発したのはちょっとしたサプライズでもあった。春の2冠で影が薄かったのは、あるいは早仕掛けの反動だったのかもしれない。それでも3冠最終戦にきっちりと手駒をそろえてきたのはさすが。この夏最大の“上がりサイヤー”といっていいだろう。

 種牡馬ハービンジャーは今のところ統計面で明確な長距離志向を見せている。過去1年の産駒の芝コースにおける平均勝ち距離は、リーディング20位以内の種牡馬で最長の1930メートル。ちなみに他の主な種牡馬はステイゴールドが1892メートル、ネオユニヴァース、ハーツクライが1862メートルで横並び、キングカメハメハが1841メートル、ディープインパクトが1765メートルとなっている。付け加えればハービンジャーのサンプルは長距離戦の比率の小さい3歳世代のみ。数字の上では間違いなく当代随一のスタミナ型である。

 ハービンジャーの父ダンシリはデインヒル系のマイラーだったが、種牡馬としてはハービンジャーの他にも06年の凱旋門賞馬レイルリンク、ジャパンCへの参戦が報じられている凱旋門賞2年連続2着のフリントシャーといった大物ステイヤーを連発している。前者の勝った凱旋門賞で3着入線後失格となったのがディープインパクト。5世代目にして初の菊花賞制覇を狙う最強サイヤーにとっては、ここ一番で合口の悪い血脈という見方もできる。菊花賞限定の“ディープ・キラー”となる可能性は十分にある。(サラブレッド血統センター)

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