藤井正弘の血統トピック

タッチング、クイーン、ジュエリー やはり強力ディープ産駒

[ 2015年10月14日 05:30 ]

 12年はジェンティルドンナ→ヴィルシーナのワンツー、13年はスマートレイアーが2着、そして昨年はショウナンパンドラが優勝と、ディープインパクト産駒は前3年で2勝2着2回。初世代から4連勝を記録した桜花賞ほどではないにせよ、やはりこのレースも種牡馬単位の切り口からはディープインパクトが圧倒的な優位に立っている。

 ローズSを快勝したタッチングスピーチは母のリッスンが英G1のフィリーズマイルの優勝馬。毎年のように書いていることだが、牝馬の3冠目はG1馬の娘、あるいは妹といった単純明快な良血馬が真価を発揮するケースが多い。前記ジェンティルドンナも母が英G1チェヴァリーパークS勝ち馬だった。ちなみにタッチングスピーチの1歳違いの全弟は昨年のセレクトセールでカタールのファハド殿下の代理人によって2億6000万円(税別)で落札され、ニューワールドパワーの名で来年の英クラシックを狙う。間接的ながら世界的な大オーナーのお墨付きを得たエリート血統といえる。

 オークス馬ミッキークイーンは母のミュージカルウェイがフランスのG2ドラール賞勝ち馬。ローズSの負けは試走に徹した余裕の分には違いないが、ひと夏越しての上昇度に母馬の格の違いが表れたという見方もできなくはない。母の父ゴールドアウェイがマイラーなので、2000メートルの距離はオークスよりも合う。

 ディープジュエリーは米G1・2勝(アシュランドS、デルマーオークス)馬イヴニングジュエルの半妹。母の父がストームキャット系の大物ジャイアンツコーズウェイで、父の産駒では“持ち出し”の英国産馬で仏1000ギニーを制したビューティパーラーと同配合となる。トライアルよりも本番で一発があるタイプだ。

 桜花賞でディープインパクト産駒の5連覇を阻止したのはキングカメハメハ産駒のレッツゴードンキ。今回も“キラー属性”発動には要警戒だが、良血には良血を、という観点から怖いのは同じ父のトーセンビクトリーだろう。01年のエリザベス女王杯を制した母トゥザヴィクトリーは、ドバイワールドCで連対した史上唯一の牝馬。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」の配合は、この世代の2冠馬にしてレーティング上の国内最強馬ドゥラメンテと共通する。(サラブレッド血統センター)

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