藤井正弘の血統トピック

サイヤーライン継続を懸けたJDD

[ 2015年7月8日 05:30 ]

 8日のジャパンダートダービーで人気を分けるのは恐らく、兵庫チャンピオンシップを逃げて圧勝したクロスクリーガーとユニコーンSで豪快な追い込みを決めたノンコノユメ。脚質的には好一対の両雄だが、血統面では興味深いシンクロニシティーを示している。

 ノンコノユメの父トワイニングは去る6月28日、大動脈破裂により24歳で急死した。禍福はあざなえる縄のごとしとはいうが、ノンコノユメのユニコーンSからわずか1週間後の出来事。この父の現3歳からは他に京王杯2歳S勝ちのセカンドテーブル、東京湾C(船橋)勝ちのドライヴシャフトも出ており、皮肉にも国産10世代目にして最高の当たり年となっていた。

 一方、クロスクリーガーの父アドマイヤオーラもまた、放牧中に負ったケガが原因で3月初めに安楽死の措置が取られている。こちらは11歳の若さで、現3歳が初年度産駒。前記ユニコーンSでノンコノユメの2着に粘ったノボバカラもその一頭だ。ブエナビスタをはじめ、兄弟姉妹6頭が重賞勝ち馬という遺伝因子の精度の高さを実証したばかり。アグネスタキオン後継のエース格の期待も懸けられた有望株だった。

 ちなみにノンコノユメは母の父がアグネスタキオン。つまり今回のジャパンダートダービーは“アグネスタキオンの孫”の一騎打ちという見方もできる。いずれにしても、互いに亡き父馬から後を託されたサイヤーライン継続の切り札的存在。3歳ダート王の称号は譲れないところだろう。 (サラブレッド血統センター)

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