藤井正弘の血統トピック

ゴールド死角なし!血統的な逆転候補不在

[ 2015年6月24日 05:30 ]

 今年の宝塚記念のゴールドシップには、JRA平地G1・3連覇という史上初の快挙達成が期待されている。

 JRAにグレード制が導入された1984年以降、同一G1・3連覇に挑んだ馬は過去に5頭いた。記憶に新しいのは昨秋のジャパンCのジェンティルドンナ(4着)だろう。その前は12年ジャパンCダートのトランセンド(16着)で、05年にはアドマイヤグルーヴがエリザベス女王杯(3着)、デュランダルがマイルチャンピオンシップ(8着)で、2週連続で3連覇に失敗していた。そして残りの1頭がゴールドシップの母の父であるメジロマックイーン。93年春の天皇賞で前年の菊花賞馬ライスシャワーの2着に敗れた同馬は、JRA史上最も“G1・3連覇”に近づいた馬でもある。

 ゴールドシップは毛色だけでなく、競走馬としての属性もこの母の父の影響を強く受けている。同じ「黄金配合」のドリームジャーニー、オルフェーヴル兄弟との比較でも、あらゆる意味において、よりメジロマックイーン的と表現できるかもしれない。G1・3連覇は果たせなかったメジロマックイーンだが、同年の宝塚記念は完勝で、3歳時の菊花賞からJRA記録となる4年連続のG1制覇を達成している。傑出した“キープ力”を象徴するこの記録にゴールドシップは春の天皇賞で肩を並べた。年齢的な戦力ダウンどころか、むしろパワーアップした印象もある。少なくとも前2年同様、あるいはそれ以上のパフォーマンスが見られるはずだ。

 種牡馬単位の切り口でも前6年で5勝という種牡馬ステイゴールドの宝塚記念実績は圧倒的。しかも今回は前6年の優勝馬で唯一の非ステイゴールド産駒、アーネストリーの父であるグラスワンダーの産駒が不在とあって、血統的な逆転候補が見当たらない。まずは2着争いと割り切っていいだろう。

 ちなみにこの6年、「2着馬の父」は完全な持ち回り状態(09年サクラメガワンダー=父グラスワンダー、10、11年ブエナビスタ=父スペシャルウィーク、12年ルーラーシップ=父キングカメハメハ、13年ダノンバラード=父ディープインパクト、14年カレンミロティック=父ハーツクライ)となっている。ローテーションでいけば今回の当番サイヤー?は、前記グラスワンダーを飛ばしてスペシャルウィークということになる。

 スペシャルウィーク産駒のトーホウジャッカルは昨年の菊花賞で3分1秒0の驚異的なレコードを樹立した。メジロマックイーンの3連覇を阻止したライスシャワーも菊花賞はレコード勝ちだった。対ゴールドシップ、というより対メジロマックイーンという観点から、逆転含みの2番手として挙げておきたい。(サラブレッド血統センター)

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