藤井正弘の血統トピック

【オークス】ドンキ スタミナ安心担保、距離延長も問題なし

[ 2015年5月20日 05:30 ]

 今年は桜花賞も皐月賞も優勝馬はキングカメハメハ産駒だった。

 84年のグレード制導入以降、今年のように同一種牡馬の産駒が牡牝のクラシック初戦を独占したケースは4回あった。84年のダイアナソロン、シンボリルドルフ(父パーソロン)、00年のチアズグレイスとエアシャカール(父サンデーサイレンス)、03年のスティルインラブとネオユニヴァース(同)、04年のダンスインザムードとダイワメジャー(同)で、3冠馬シンボリルドルフと3冠牝馬スティルインラブをはじめ、各馬は2冠目でも〔3・3・0・2〕と、勝率3割7分5厘、連対率7割5分の好成績を残している。ちなみに馬券の対象から外れた2頭、ダンスインザムード(オークス4着)とダイワメジャー(ダービー6着)は同じ世代。父馬が共通する同期の桜花賞馬と皐月賞馬には、良くも悪くも運命共同体的な面があるのだろう。

 レッツゴードンキの4代母ダイナフランダースは、芝3000メートル超の平地競走(ブラッドストーンS=芝3200メートル)を勝った数少ない牝馬で、09年のエリザベス女王杯を大穴で逃げ切ったクィーンスプマンテの祖母にもなっている。この牝祖は東京2400メートルを乗り切るスタミナの担保として申し分ない。母のマルトクは短距離馬だったが、同じキングカメハメハ産駒の3冠牝馬アパパネも母はスプリンターだった。2冠達成でダービーのドゥラメンテにいい流れを引き継ぐ可能性は十分にある。

 桜花賞同様、種牡馬単位の最大勢力はディープインパクト産駒。クルミナルは、母のクルソラが芝2000メートルのG1を2勝したアルゼンチンの3歳牝馬チャンピオンで、コンテッサトゥーレは皐月賞馬キャプテントゥーレの半妹。桜花賞上位組はどちらも2400メートルがベストではないにせよ、守備範囲には入る血統といえる。特に母の父が“東京のトニービン”の後者には、コース替わりでのプラスアルファを見込んでおきたい。

 マンハッタンカフェ産駒は桜花賞組のクイーンズリング、アースライズ、ルージュバックにフローラS勝ちのシングウィズジョイが加わる4頭出し。この父の産駒のオークス出走は過去8世代で3頭(最高着順は09年レッドディザイアの2着)だったのだから、やはり現3歳牝馬にはビンテージ的な能力が伝わっていると判断すべきだろう。中でもクイーンズリングは、母の父アナバーが凱旋門賞3連覇に挑むトレヴと共通する牝馬優位の大物配合だ。 (サラブレッド血統センター)

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