藤井正弘の血統トピック

【ヴィクトリアM】「非SS系」カフェブリリアントに注目

[ 2015年5月13日 05:30 ]

 月日のたつのは早いもので、ヴィクトリアMは今年で節目の10回目を迎える。

 過去9年で蓄積された血統データは、基本的に他の多くのG1と変わりない。第1回にダンスインザムード、エアメサイア、ディアデラノビアで“ワン・ツー・スリー”を決めた種牡馬サンデーサイレンスが「父の父」、あるいは「母の父」として圧倒的な支配力を示している。ちなみに延べ18頭の連対馬の中で、サンデーサイレンス血脈を持たない馬はウオッカ(第3回2着、第4回優勝)とアパパネ(第6回優勝)の2頭で、前者は日本競馬史上3頭しかいない牝の日本ダービー馬であり、後者は前年の3冠牝馬だった。逆に言えば「非サンデーサイレンス系」の場合、相当な大物でなければ厳しいということになる。

 今年の出走予定馬で「非サンデーサイレンス系」はウエスタンメルシー、カフェブリリアント、ケイアイエレガント、リトルゲルダ。中では3連勝で阪神牝馬Sを制したカフェブリリアントが注目される。父のブライアンズタイムは、前記ウオッカの父系祖父。後継種牡馬(タニノギムレット)の産駒が勝ったG1へ、その6年後に直子を送り込むというのだから、何とも驚くべきバイタリティーである。「母の父カーリアン」は第5回の優勝馬ブエナビスタと共通する。“3頭目”となる可能性はなきにしもあらずだろう。

 歴代優勝馬の父で異彩を放つのは、第2回コイウタ、第3回エイジアンウインズの父フジキセキ。昨年、レース史上初の連覇を果たしたヴィルシーナの父ディープインパクトも「2勝」には違いないが、異なる2頭の優勝馬を出したのはこの父だけ。付け加えれば、フジキセキ産駒でJRA・G1を制した牝馬もこの2頭しかいない。“特化度”という点でもヴィクトリアMの最重要種牡馬として押さえておきたい。

 昨年3着のストレイトガールは、母の父が安田記念勝ちのタイキシャトルでヘイローの3×4。同じフジキセキ産駒でヘイロー3×3のダノンシャンティはNHKマイルCを制した。祖母の父デインヒルは母の父として前記エイジアンウインズの戴冠をアシストしており、配合的にも東京芝1600メートルのG1には高い適性が見込める。悲願のG1奪取最大のチャンスだ。

 フジキセキ産駒以外の歴代優勝馬は全て世代限定G1で連対実績があった。今年の場合、ヌーヴォレコルト、ショウナンパンドラ、メイショウマンボ、レッドリヴェールがこれに該当する。実績最上位のヌーヴォレコルトは、母の父がG1・5勝のマイル王スピニングワールド。安田記念勝ちのジャスタウェイ同様、ハーツクライ産駒でも距離に融通が利くタイプといえる。 (サラブレッド血統センター)

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