藤井正弘の血統トピック

【NHKマイルC】キンカメ産駒初制覇見えた、3歳勢の評価急騰

[ 2015年5月6日 05:30 ]

 今年は種牡馬リーディングにちょっとした異変が起きている。

 5月3日現在、中央・地方を合算したランキングで首位に立っているのはキングカメハメハ。獲得賞金20億6986万4000円は2位ディープインパクトに約9400万円差だから、G1レース1勝でひっくり返る小差といえるのだが、トップをキープしたまま5月を迎えたのは自身が最後にチャンピオンサイヤーとなった11年以来、4年ぶりのことである。

 種牡馬キングカメハメハ復権の原動力はもちろん、牡牝のクラシック初戦を独占した3歳世代。ちなみに本年度の3歳馬限定の獲得賞金はキングカメハメハ産駒が8億3859万6000円で、ディープインパクト産駒が7億3724万円と、ほぼ1億円の開きがある。つまり、新旧チャンピオンサイヤーのパワーバランスが3歳世代に関しては完全に逆転しているということ。それがそのまま現時点でのサイヤーランキングに反映されているわけだ。

 今週のNHKマイルCにもキングカメハメハは2頭の重賞ウイナーを送り込む。本をただせばレース史上最大着差(5馬身)で後続をちぎり捨てた11年前の覇者であり、その父キングマンボは98年の優勝馬エルコンドルパサーの父でもあったNHKマイルCの“VIPサイヤー”の1頭。09年5着のフィフスペトルが最高着順という、昨年までの産駒実績はリセットしてかかるべきかもしれない。

 新潟2歳S勝ちのミュゼスルタンは、母の父フレンチデピュティも01年の勝ち馬クロフネ、07年の勝ち馬ピンクカメオの父にして13年の勝ち馬マイネルホウオウの母の父という当レース御用達血脈。母のアスクデピュティは東京芝2000メートルの準オープン特別を勝っており、初コースにも血統的な不安はない。

 ニュージーランドT勝ちのヤマカツエースは、短距離戦で活躍したヤマカツマリリンの初子。父の産駒では今年の桜花賞馬レッツゴードンキも牝馬3冠のアパパネも母がスプリンターだった。「母の父グラスワンダー」もオークス優勝、ヴィクトリアマイル2着のメイショウマンボで東京コースのG1実績がある。

 昨年は優勝馬ミッキーアイル以下3頭出しだったディープインパクト産駒だが、今のところ出走ラインに届いているのはアヴニールマルシェのみ。やはり世代単位の変調は否めないだろう。ただし、アヴニールマルシェは母の父が前記ミュゼスルタンと同じフレンチデピュティで祖母が桜花賞馬キョウエイマーチ。間違いなくマイルG1で能力全開の血統だけに、この馬のパフォーマンスが父の逆襲の口火を切る可能性も少なからずある。いずれにしても今年の種牡馬リーディングの行方を占う上で、ターニングポイントとなりそうな一戦だ。(サラブレッド血統センター)

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