藤井正弘の血統トピック

マンハッタン、ステイにディープ娘最大7頭出しで対抗

[ 2015年4月8日 05:30 ]

 種牡馬単位の切り口ではサンデーサイレンス後継の「3強対決」となる今年の桜花賞。それぞれ2頭の重賞勝ち馬を擁するマンハッタンカフェとステイゴールドに、最大7頭出しの物量作戦でディープインパクトが対抗するという構図だ。

 昨年まで4連覇という種牡馬ディープインパクトの特異な桜花賞属性は、ジェンティルドンナやハープスター級の大駒を欠く今回も軽くは扱えない。中でも配合的に注目しておきたいのは、ディープインパクト産駒のマストアイテムともいえるリファールの近交を内蔵するコンテッサトゥーレとクルミナルだ。コンテッサトゥーレは皐月賞馬キャプテントゥーレの半妹。母エアトゥーレは、当時の4歳牝馬特別3着で出走権を得て挑んだ00年の桜花賞で11着に敗れており、母から16年越しの雪辱を託された形にもなる。クルミナルは母クルソラが芝2000メートルのG1を2勝したアルゼンチンの3歳牝馬チャンピオン。独特の生命力を称える南米牝系の出身で、前走の大敗も恐らく経験値アップに直結している。

 マンハッタンカフェ産駒は3戦全勝のルージュバックとクイーンズリングに加え、フラワーC2着のアースライズが抽選待ち。種牡馬マンハッタンカフェは現4歳と現5歳の2世代にわたって重賞勝ち馬を出しておらず、峠を越えた印象もあったのだが、牝馬に特化したフィリーサイヤーとして息を吹き返した感じ。ルージュバックの母ジンジャーパンチは、BCディスタフなど北米G1・6勝を挙げた米古牝馬チャンピオン。この母はダート7FのG2ファーストフライトHにも勝っており、少なくとも血統的にはマイル戦対応の機動力も見込める。クイーンズリングは母が“フランス版桜花賞”仏1000ギニーの勝ち馬トレストレラの妹。母の父アナバーは凱旋門賞連覇のトレヴの母の父でもある。こちらの母系も間違いなくG1仕様だ。

 ステイゴールドは昨年、ハープスターに首差まで肉薄したレッドリヴェールの父。ディープインパクト以外の種牡馬が桜花賞連対馬を出したのは、実に3年ぶりのことだった。今年はココロノアイ、キャットコインの重賞ウイナー2頭出し。前者の3代母マックスビューティは87年の優勝馬で、祖母マックスジョリーは93年に“桜花賞馬の娘”としては史上最高着順の3着入線を果たした。後者の母の父ストームキャットは、母の父として2頭の優勝馬(98年ファレノプシス、13年アユサン)を出した桜花賞の黒幕的種牡馬。どちらも戴冠には十分な“血中濃度”が備わっている。(サラブレッド血統センター)

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