藤井正弘の血統トピック

SS血脈、ノットで新展開の予感

[ 2015年1月14日 05:30 ]

 シンザン記念のグァンチャーレ、フェアリーSのノットフォーマル。3日間開催で誕生した牡牝の明け3歳最初のグレードウイナーには、血統的な共通項がある。前者の父スクリーンヒーローも後者の父ヴァーミリアンも「母の父サンデーサイレンス」の種牡馬だったことである。

 サンデーサイレンス牝馬を母とする種牡馬ではアドマイヤムーンが成功を収めており、米国でもテイルオブエカティ(父テイルオブザキャット、母サイレンスビューティ)が昨年、初世代からG3勝ち馬を出した。サンデーサイレンス後継種牡馬はすでに売り切れだが、血量的には同じこちらはまだまだ豊富な在庫がある。長期的に見ればサンデーサイレンス直系と同等の成功種牡馬が現れても不思議ではない。

 その可能性を示唆するのがフェアリーSを逃げ切ったノットフォーマルの血統構成だ。同馬は母の父がサンデーサイレンス後継のマンハッタンカフェ。つまりサンデーサイレンスが「父の母の父」であると同時に「母の父の父」でもある。サンデーサイレンス3×3という超近親交配馬なのである。

 サンデーサイレンスのインブリードについては以前にも触れたが、JRA重賞勝ち馬はノットフォーマルが初めて。ヴァーミリアン産駒では異彩を放つ芝適性はおそらく、偉大な「父の母の父」の属性が近親交配によって引き出されたものだろう。サンデーサイレンス血脈の新展開を予感させる貴重なサンプルだ。(サラブレッド血統センター)

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