藤井正弘の血統トピック

唯一のステイ産駒ゴールドシップに追い風

[ 2014年6月25日 05:30 ]

 史上初の宝塚記念連覇に挑むゴールドシップには、当然ながら大きな血統的アドバンテージがある。

 09年ドリームジャーニー、10年ナカヤマフェスタ、12年オルフェーヴル、そして昨年のゴールドシップと、直近5年で4頭の優勝馬を出した種牡馬ステイゴールドは、グレード制導入(84年)以降の宝塚記念最多勝サイヤーであり、3頭の優勝馬を出した母の父メジロマックイーンは同じく最多勝ブルードメアサイヤー。「黄金配合」の神髄というべき心身両面のタフネスが最大限に威力を発揮するのは、オールスター戦というよりG1シリーズのポストシーズン的立ち位置にある春秋のグランプリなのである。ちなみに4年前のドリームジャーニーは同じ父のナカヤマフェスタにV2を阻止されたが、今回は他にステイゴールド産駒のエントリーはない。これまた快挙達成への追い風だ。

 ただし、実績的に“最多勝サイヤー”クラスの待遇が必要な種牡馬は他にもいる。メイショウマンボの母の父グラスワンダーである。

 有馬記念連覇でミスターグランプリの異名を取ったグラスワンダーは、99年の優勝馬。同期のダービー馬スペシャルウィークを3馬身突き放した圧倒的なパフォーマンスは今なお、宝塚記念のスタンダードとして語り継がれている。種牡馬としても11年にアーネストリーで史上初の父子制覇を達成し、後の結果としてステイゴールドのV5を阻んだほか、09年にも産駒のサクラメガワンダーがドリームジャーニーの2着に食い込んだ。こと宝塚記念への特化度では、ステイゴールド、メジロマックイーンと同等、あるいはそれ以上ともいえるだろう。

 前記99年の宝塚記念、2着スペシャルウィークのさらに7馬身後方で3着入線したのがステイゴールドだった。ゴールドシップにとって最も怖いのは、ハーツクライ産駒でもディープインパクト産駒でもなく“グラスワンダーの孫娘”メイショウマンボかもしれない。

(サラブレッド血統センター)

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