藤井正弘の血統トピック

種牡馬ディープが短距離部門救えるか!?

[ 2014年3月26日 05:30 ]

 今年の高松宮記念には初めて2頭のディープインパクト産駒が参戦する。ディープインパクトの初年度産駒が出走可能年齢の4歳となったのは、ちょうど中京コースがリニューアルオープンした2年前だったが、過去2年はエントリーなし。ちなみに3歳上で争われる秋のスプリンターズSにもこれまでに出走した産駒はいないので、種牡馬ディープインパクトにとってはスプリントG1自体が初体験ということになる。

 出走馬中唯一のG1ホルダーでもあるリアルインパクトは、母のトキオリアリティーが旧中京コースの芝1200メートル特別勝ち馬で、半兄にオーシャンS優勝、スプリンターズS3着のアイルラヴァゲイン。3歳時(11年)に安田記念を制して以降、過去5回あったスプリントG1参戦の機会をスルーしてきたのが不思議なほどに母系の血統は短距離寄りといえる。もう1頭のレッドオーヴァルは昨年の桜花賞2着馬。次兄の安田記念勝ち馬ストロングリターンはスプリント部門との2階級制覇に挑むことはなかったが、長兄ダイワマックワンはオープンのクリスマスローズSを含むJRA全5勝を芝1200メートルで挙げた純正スプリンターだった。余談ながらストロングリターンはリアルインパクトの勝った前記安田記念では首差2着。この兄の雪辱という因縁含みの局地戦も展開されるわけだ。

 昨年の当コラムではサンデーサイレンス血脈の支配力が弱まるにつれて短距離部門の地盤沈下が加速する恐れを指摘した。絶対王者ロードカナロアの引退によって状況は1年前よりも深刻に映る。その意味で種牡馬ディープインパクトはスプリント部門再生の切り札であり、最終兵器ともいえる。そして“2代目モンスター”が偉大な父同様、短距離サイヤーとしても無双クラスの可能性を秘めているかどうかは、今回の2頭出しの成否によって明らかになるだろう。

(サラブレッド血統センター)

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