藤井正弘の血統トピック

異例!内国産8月生まれの重賞V馬

[ 2014年3月19日 05:30 ]

 中日新聞杯で重賞初制覇を果たしたマーティンボロは父ディープインパクトの5歳馬。ドバイでのリベンジが注目されるジェンティルドンナや自身のめいに当たるヴィルシーナなどと同世代だが、前走の飛鳥Sでようやくオープン入りした馬で、デビュー18戦目にして初めての重賞挑戦だった。

 世代限定戦からフル稼働が定番のディープインパクト産駒としては異例のスロー出世だが、それもそのはずで、マーティンボロが生まれたのは09年の8月20日。当時、ノーザンファームの新戦略として話題になった南半球仕様の生産馬なのである。ちなみにグレード制導入の84年以降、内国産重賞勝ち馬で最も生まれが遅かったのは、6月24日生まれのマルタカストーム(85年スプリンターズS=当時G3)とハッピィーギネス(92年根岸S)。従来の記録を大幅に塗り替えたことになる。

 北半球で出走する南半球産馬には3歳時までアロワンス(減量)が与えられる。セントライト記念を勝ったロックドゥカンブ、後にスプリンターとして大成するキンシャサノキセキもオープン初勝利のジュニアCで2キロ減の恩恵にあずかっていた。一方、現実には北半球生まれのマーティンボロはアロワンスの対象外。世代限定戦では常に2キロの“逆ハンデ”を背負っていたともいえるのだから、勝ち上がりに時間がかかったのはやむなしだろう。もちろん、今後の成長曲線に関しては、8歳時の高松宮記念で有終の美を飾ったキンシャサノキセキ同様の“南半球暦”を適用できるに違いない。

(サラブレッド血統センター)

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