藤井正弘の血統トピック

“隠れステイ”タマモベストプレイが面白い

[ 2013年12月18日 05:30 ]

 今年の有馬記念は前2年の優勝馬、オルフェーヴルとゴールドシップの最初で最後の直接対決の場となる。「2勝目」を狙う馬が2頭出てくるのは史上初めてで、しかもその2頭は父ステイゴールドばかりか母の父メジロマックイーンまで共通する同配合馬。血統的な観点からも歴史に残るグランプリである。

 どちらが勝つかはひとまず置いておくとして、“第3の馬”ナカヤマナイトを含めたステイゴールド産駒によるV3の確率は、やはり相当に高いだろう。ちなみに種牡馬単位の「3連覇」は第8回から第10回(リュウフォーレル、ヤマトキョウダイ、シンザン)のヒンドスタン、第49回から第51回(ゼンノロブロイ、ハーツクライ、ディープインパクト)のサンデーサイレンスによって記録されている。

 昨年はゴールドシップ→オーシャンブルーというステイゴールド産駒のワンツーでもあった。有馬記念で1、2着を独占した種牡馬は第10回のヒンドスタン(シンザン→ミハルカス)、第31回のノーザンテースト(ダイナガリバー→ギャロップダイナ)、第50回のサンデーサイレンス(ハーツクライ→ディープインパクト)と、当該年のチャンピオンサイヤーに限られていたのだが、昨年のステイゴールドは首位ディープインパクトにダブルスコアの差をつけられたリーディング3位。その特異な有馬記念属性が血統的慣例を打破してしまったわけで、先例のない2度目のワンツーも十分にあり得るだろう。

 さて、今回のステイゴールド産駒は前記の3頭出しなのだが、実はもう1頭、“隠れステイゴールド”ともいうべき馬がいる。3代母ロイヤルサッシュをステイゴールドと共有するタマモベストプレイ。単に同族というだけでなく、父フジキセキ、母の父ノーザンテースト、祖母の父ディクタスという血統構成は、父サンデーサイレンス、母の父ディクタス、祖母の父ノーザンテーストのステイゴールドをほぼ完全に再現した形となる。グランプリ特化型の異能が息を潜めている可能性なきにしもあらずだ。 (サラブレッド血統センター)

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