藤井正弘の血統トピック

マツリダゴッホ ステイ級の可能性秘めるオールラウンダー

[ 2013年8月7日 06:00 ]

 【新種牡馬紹介(4)】

 ◆マツリダゴッホ 03年生 鹿毛 静内産 中央で27戦10勝 主な勝ち鞍は有馬記念、オールカマー(3回)、日経賞、アメリカジョッキークラブC 2歳産駒80頭。

 02年8月に急死した大種牡馬サンデーサイレンスが、同年の種付けで残した109頭のラストクロップの1頭。サンデーサイレンス産駒の現役馬は岩手のビュレットライナー(11歳)を残すのみで事実上、サンデーサイレンス産駒最後のG1ウイナーとなる。

 その有馬記念は単勝9番人気(52・3倍)の人気薄だったが、早めのスパートからダイワスカーレットを振り切る完勝だった。4歳春の初重賞となったアメリカジョッキークラブC、4歳から6歳まで3連覇を果たしたオールカマー、59キロを背負って圧勝した5歳時の日経賞を合わせて中山コースの重賞6勝は、スピードシンボリ、シンボリルドルフに並ぶ歴代最多。こと中山では殿堂級の強さを発揮した“鬼”で、上がりのかかる競馬を本領とした点でも父の産駒では異端に属する。1歳年長のディープインパクトとは違った意味での変異種だったと言えるかもしれない。

 サンデーサイレンス直系らしい種牡馬能力は5日現在、2歳リーディング7位という好発進が示す通り。付け加えるなら、交配相手の量はさておき、質の面では必ずしもVIP待遇ではなかった(重賞勝ち繁殖牝馬は1頭)のだから、相当に強力な“自力型”ということでもある。似たような境遇から今や日高の至宝となったステイゴールドと同じ道を歩む可能性もあるだろう。種牡馬としては早くもダート1000メートルから芝1800メートルまでカバーするなど、オールラウンダーの片りんを示している。(サラブレッド血統センター)

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