藤井正弘の血統トピック

ブラックヒルを後押しする祖母の父ストームキャット

[ 2013年2月13日 06:00 ]

 【0・0・1・14】。これは、フェブラリーSがダートコース初体験だった馬の累計成績である。G1に昇格した97年以降、ダート未経験馬は計15頭が出走して連対なし。馬券の対象になった馬、と言うより掲示板を確保した唯一の馬が01年3着のトゥザヴィクトリーで、平均着順は11・6着。何とも惨憺(さんたん)たる結果という他はない。ちなみに、着外14頭の中には00年のシンボリインディ(9着)、07年のオレハマッテルゼ(16着)、08年のヴィクトリー(15着)、10年のローレルゲレイロ(7着)、12年のグランプリボス(12着)と、5頭の芝G1ウイナーが含まれている。ダートの実戦経験がない馬に関しては、芝コースでの実績は無意味と断言できるほどだ。

 というわけで、データ的には厳しい立場のカレンブラックヒルだが、ここではあえて血統面からダート克服の可能性を探ってみよう。

 父のダイワメジャーは昨年のダート限定リーディング28位。総合は7位、芝限定では4位だから、総合、芝限定とも1位から、ダート37位まで順位を落としてしまうディープインパクトほどではないにせよ、ダート部門に苦手意識を抱えているのは明らかだ。過去2世代でダートグレード級は全日本2歳優駿2着のメジャーアスリートのみ。同馬も準オープンは芝コースでクリアしており、産駒はクラスが上がるに連れて芝にシフトしていく傾向にある。

 カレンブラックヒルの血統的な切り札は祖母の父ストームキャット。05年の優勝馬メイショウボーラーの母の父にして05、06年と連続2着入線を果たしたシーキングザダイヤの父である。両馬は共に芝コースでG2を勝っていた。単なるフェブラリーS御用達というだけでなく、ストームキャット血脈には“二刀流”をアシストする属性が潜んでいるとも考えられる。これは十分な買い材料と言えるだろう。(サラブレッド血統センター)

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