藤井正弘の血統トピック

魅力たっぷり“父”ルーラー 生産部門での完全燃焼に期待

[ 2012年12月26日 06:00 ]

 グランプリコースではめったに見られない大外マクリで「金」の年を締めくくったゴールドシップ。同じ“黄金配合”のドリームジャーニー、オルフェーヴル兄弟とは一線を画す質実剛健キャラは、毛色から受けるイメージ以上にメジロマックイーン的。今回に限っては21年前、伏兵に足をすくわれた母の父の残像が拭えずに評価を一枚下げたのだが、そんな浅薄な読みをあざ笑うかのような超絶パフォーマンスだった。

 もっとも今年の有馬記念、個人的にはある意味で優勝馬よりも衝撃だったのがルーラーシップの怪走。発馬の遅れは目算で10馬身。単勝、馬連を買っていた方には割り切れなさが残るだろうが、あえて印を抜いた気楽な立場からすると、ゴールドシップのさらに外から襲いかかろうとするおなじみの勝負服には心底戦慄(せんりつ)を覚えた。恐るべき競走能力、いや、身体能力である。 

 思えば今をときめく種牡馬ステイゴールドもまた、現役時代は国内G1で歯がゆいまでの惜敗を繰り返し、シルバーコレクターとやゆされた。さらにその上をいく希代のブロンズコレクターとなってしまったルーラーシップは、唯一のG1タイトルをアウェーの香港で手に入れている点でも最新のグランプリサイヤーに通じる反骨精神?が見え隠れする。ダービー馬×オークス馬という超エリート配合にしてサンデーサイレンス血脈とは無縁。サンデーサイレンス牝馬の交配相手としては理想的な血統構成といえる。今後の進路が注目されるが、いずれにせよステイゴールド同様、生産部門では完全燃焼が期待できるはずだ。(サラブレッド血統センター)

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