藤井正弘の血統トピック

グローリー「二刀流」受け継ぐ

[ 2012年11月28日 06:00 ]

 ディープインパクトとキングカメハメハがし烈なマッチレースを展開してきた今年の種牡馬リーディングもいよいよ大詰め。11月25日現在、両馬の獲得賞金の差は約4億1500万円。牡牝3冠馬の歴史的肉弾戦を制したジェンティルドンナによって“JC父子2代制覇”を果たしたディープインパクトが、ルーラーシップの一撃で逆転をもくろんだキングカメハメハに引導を渡した形だ。ただし、本年最後の1カ月にも1着賞金6000万円のスポニチ賞ステイヤーズSを皮切りに、中央、地方を合わせてグレードレース(JG1中山大障害を含む)だけでも17鞍が組まれている。机上の計算では、まだわずかながら逆転の可能性は残されているのである。

 今週のジャパンCダートは、5頭の産駒が出走ラインに達しているキングカメハメハのターン。というよりも、首の皮一枚から息を吹き返す最後のチャンスだろう。1着賞金1億3000万円だけでなく、掲示板独占くらいの猛反撃が必要になることは言うまでもない。 

 07年の優勝馬ヴァーミリアンとの兄弟制覇がかかるソリタリーキングを筆頭に、3歳2強のハタノヴァンクール、ホッコータルマエ、阪神巧者ナイスミーチューと、既成勢力も相応の分厚さを誇るキングカメハメハ軍団だが、それにも増して魅力的な存在がコンバート初戦となるトゥザグローリーだ。 

 ダート転向初戦だった5歳春のフェブラリーSで小差3着に食い込んだ母のトゥザヴィクトリーは、当時のダート競馬における世界最高賞金レース、ドバイワールドCでも逃げて2着に粘り込み、牝馬では空前絶後の連対馬として同レースの歴史に名を刻んだ。この母の全弟サイレントディールもまた、初ダートとなった3歳秋の武蔵野Sを4馬身差で大楽勝している。芝でもダートでも同様のパフォーマンスを発揮する「二刀流」が伝統の一族。芝で稼いだ断トツのプレレーティング120ポンドは、ダートでも額面通りに受け止めておくべきだろう。(サラブレッド血統センター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る