藤井正弘の血統トピック

ディープ産駒なるか“2代目モンスター”

[ 2012年11月14日 06:00 ]

 安田記念の上位3頭がそろってエントリーしてきたにもかかわらず、今年で最も難解なG1という下馬評のマイルチャンピオンシップ。もっとも、このレースの難度の高さは今回に限ったものではない。前3年すべて2桁人気の伏兵が連に絡み、3連単の平均配当は28万円超。デュランダル(03、04年)、ハットトリック(05年)、ダイワメジャー(06、07年)と、鉄壁のリレーワークで王座を守ってきたサンデーサイレンス産駒が撤退して以来、マイル部門は慢性的な無政府状態なのである。

 極端に負荷の小さい日本の芝コースは、もともと着差がつきにくい。特に枠順、コース取り、展開に左右される部分が大きいマイル以下のジャンルにおいて、傑出馬が現れないのは構造的な必然ともいえる。そして、そんな条件下でも長期政権を築けるほどの名マイラーを連発してきたサンデーサイレンスは、やはり規格外の存在だったというべきなのだろう。突き詰めていけば、昨今の国産マイラーの全体的なレベルダウンは、種牡馬サンデーサイレンスのブランドパワーが孫世代に波及していないことに起因するということだ。

 今年のエントリー22頭のうち、サンデーサイレンス後継種牡馬の産駒はちょうど半分の11頭。中でもディープインパクト産駒はマルセリーナ、リアルインパクトのG1ウイナーをはじめ、ドナウブルー、ファイナルフォームが出走ラインをクリアしており、決定順19位ダノンシャークが滑り込めば5頭出しとなる。ちなみに種牡馬サンデーサイレンスは、産駒デビュー3年目、96年のジェニュインでマイルチャンピオンシップ初制覇を果たした。ディープインパクトにとっても今年は正念場。牝馬クラシックに続き、マイル部門でも“2代目モンスター”襲名が実現するのかもしれない。(サラブレッド血統センター)

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