藤井正弘の血統トピック

【菊花賞】空前の寡占状態崩す“第三の種牡馬”に着目

[ 2012年10月17日 06:00 ]

 史上4頭目の3冠牝馬誕生の後を受けて争われる今回の菊花賞最大の興趣は、言うまでもなく今世紀初めて実現する皐月賞馬とダービー馬の激突。ただし、両雄並び立たずというべきか、グレード制導入の84年以降の菊花賞で、春の2冠の優勝馬がワンツーを決めたのは98年(セイウンスカイ→スペシャルウィーク)のみ。ちなみに過去3回あった「3冠牝馬イヤー」の菊花賞では、86年が6番人気メジロデュレン(単勝1130円)、03年が5番人気ザッツザプレンティ(同2020円)、10年が7番人気ビッグウィーク(同2320円)と、全て伏兵が栄冠をさらっていた。今回も第3の馬に台頭のチャンスありだろう。

 さて、今年の牝馬3冠は、同一馬同士による史上初の3戦連続ツーショットでもあったのだが、春の2冠の1、2着馬が全て異なった牡馬の方も種牡馬単位で見ればステイゴールド(ゴールドシップ、フェノーメノ)とディープインパクト(ワールドエース、ディープブリランテ)の持ち回り。つまり、この世代の「3冠連対種牡馬」は今のところ2頭しかいないというわけだ。 

 ディープインパクト産駒は、皐月賞2着のワールドエースを欠きながらも菊花賞史上最多の8頭出しで、ステイゴールド産駒も天皇賞を選択したダービー2着馬フェノーメノの代わりに上がり馬フェデラルホールがエントリーしてきた。仮に、ここでも両馬の産駒から1、2着馬が出るとすれば、今年の牡牝3冠はサンデーサイレンス全盛時代にもなかった、空前の寡占状態になるのだが、血統マーケットにも「神の見えざる手」は確かに存在する。大勢逆転を含めた一角崩しの可能性を探るなら、今回の菊花賞はむしろ“第三の種牡馬”の産駒に着目する手かもしれない。(サラブレッド血統センター)

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