藤井正弘の血統トピック

【英ダービー】キャメロット 父“追悼”の圧勝劇 

[ 2012年6月6日 06:00 ]

 2日にエプソム競馬場で行われた第233回英ダービーは、大本命となった英2000ギニー馬キャメロット(オブライエン)が5馬身差の圧勝で2冠を達成した。今回の英ダービーは9頭立ての少頭数だったが、出走馬が10頭を切ったのは1907年以来、105年ぶりのレアケース。いかに戦う前から白旗を上げた馬が多かったかということで、今年のクラシック戦線におけるキャメロットの傑出度の反証でもある。

 安田記念当日、東京競馬場のターフビジョンにリプレーが映し出されると、その破壊的ともいえる強さに場内からため息が漏れた。ちなみに離れた2着に追い込んだメインシークエンスは現在、JBBA静内種馬場で供用されている本年の2歳新種牡馬アルデバラン2の産駒。今回ばかりは相手が悪かったとしか言いようがない。 

 この3月に急死した父モンジューにとって05年のモティヴェイター、07年のオーソライズド、そして昨年のプールモワに続く4頭目の英ダービー馬となったキャメロットは、既に秋の英セントレジャー(9月15日、ドンカスター)で3冠に挑む姿勢を見せている。今のところ最後の英3冠馬ニジンスキーは、その年の凱旋門賞で2着に敗れるという大きな代償を支払い、皮肉にも3冠最終戦の求心力低下にとどめを刺してしまった。キャメロットにしても今さら世代限定の長距離戦に勝って得るものはないに等しいのだが、陣営の最終目標は言うまでもなく「ニジンスキー超え」。42年ぶりの快挙を凱旋門賞制覇への行きがけの駄賃にしてしまう可能性大だろう。(サラブレッド血統センター)

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