藤井正弘の血統トピック

【日本ダービー(4)】ディープ包囲網突破の鍵握るフェノーメノ

[ 2012年5月25日 06:00 ]

 火曜付の記事で触れた通り、種牡馬単位の切り口からは基本的に「数は力」と割り切れるのがダービー。今年の場合も優勝馬は“ディープインパクト7”の中に潜んでいる可能性大として先例に照らすと、逆転候補も種牡馬単位の「数は力」で絞り込める。過去に3頭以上の当該年度最多頭数出しサイヤーの包囲網を突破したのは、カーリアン(96年フサイチコンコルド)、キングマンボ(04年キングカメハメハ)、キングズベスト(10年エイシンフラッシュ)の在外組を除けば、全て自身も複数の産駒のエントリーがあった種牡馬。今年の場合、唯一該当するのがステイゴールドである。 

 2冠を狙うゴールドシップは、父だけでなく母の父メジロマックイーンも昨年の覇者オルフェーヴルと共通する黄金の配合。ちなみに過去78回のダービーで同配合の馬による連覇は、第16回タチカゼと第17回クモノハナ(父プリメロ、母の父シアンモア)の1回だけで、血統データ的には結構高いハードルでもある。最新の3冠馬と血統表の4分の3が共通するのだから2Fの距離延長うんぬんは取り越し苦労という気もするのだが、残りの4分の1である祖母パストラリズムがプルラリズム×トライバルチーフという軽量級配合なのは、かすかな不安材料だ。 

 フェノーメノの血統構成は、母ディラローシェにリボー血脈が重ねられている点で宝塚記念勝ちのナカヤマフェスタに通じる。こちらもステイゴールド血脈の隠れた錬金配合と言えるだろう。伯父(母の半兄)にあたるインディジェナスは12番人気だった99年のジャパンCでハイライズ、モンジューといった欧州の強豪を抑えて2着に食い込み、馬連230倍超の大穴を叩き出した。母系にも潜在する反骨の血がディープインパクト包囲網突破の起爆剤となるかもしれない。(サラブレッド血統センター)

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