藤井正弘の血統トピック

【オークス】ディープ産駒の弱点「重賞連覇馬なし」

[ 2012年5月16日 06:00 ]

 フランスでデビューしたディープインパクト産駒ビューティーパーラー(英国産)が13日、ロンシャン競馬場で行われた仏1000ギニーを1番人気に応えて快勝した。これでデビュー以来4連勝、前走のG3グロット賞に続くGレース連勝となったわけだが、実はどちらも国内2世代のディープインパクト産駒にとって未踏の記録でもある。 

 ビューティーパーラーは昨年9月に2勝を挙げ、半年の休養明けとなった先月15日のグロット賞を圧勝して仏1000ギニーの主役に躍り出ていた。持って生まれた資質もさることながら、使い減りする傾向のあるディープインパクト産駒の成長曲線には、冬季に平地開催がないフランス競馬の鷹揚(おうよう)なスケジュールがフィットしていたと考えられるだろう。

 さて、こちら“日本版1000ギニー”桜花賞馬ジェンティルドンナは、牝馬2冠が懸かるオークスで国産ディープインパクト産駒初の重賞2連勝に再び挑むことになる。この父の産駒では今のところ国内唯一の重賞2勝馬であり、全姉ドナウブルーが先週のヴィクトリアマイルで示したように東京コースへの血統的な適応力も十分なのだが、その一方で「重賞2連勝」には、自身を含めた16頭の重賞ウイナーのうち12頭(京成杯勝ちのベストディール、毎日杯勝ちのヒストリカル、京都新聞杯勝ちのトーセンホマレボシは以後未出走、ワールドエースはきさらぎ賞勝ちの後オープン特別に出走)までがことごとく失敗しているという事実も重くみておく必要がある。 

 昨年はフルゲートの3分の1(6頭)を占めながら、マルセリーナの4着が最高着順という記録的総崩れに終わったディープインパクト産駒。最強3冠馬の種牡馬としての弱点がよもや東京2400メートルにあるはずもないのだが、牝馬の2冠目にピークを設定するのが難しい血統には違いない。2冠牝馬誕生なるか否かは微妙な線だ。(サラブレッド血統センター)

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